ワシは宇宙飛行士

困る!
頻尿で!

仕事の中に「命にかかわるぐらい寒い冷凍庫に入って商品を取ってくる」という作業がある。
そのせいで、膀胱の機能がクラッシュしてしまったのだろうか?
困る!
頻尿で!
ここ数ヶ月!

だいたい「1時間ちょっと」で猛烈な尿意に襲われる。
そのたびに、やむなく仕事を中断。
下腹部に絞り上げるように力を入れ、腰を引き、身をよじるという「100%おしっこを我慢している人」の珍妙な動きでトイレに駆け込むことに。

仕事中も困るのだが、それよりも悩んでいるのが映画鑑賞である。
だいたいいつも、作品のクライマックスで、嫌がらせみたいに尿意のクライマックスも訪れるのである。

園子温監督の「地獄でなぜ悪い」を観に行った時。
クライマックスのあの「血しぶき飛び散る最高の大殺戮シーン」で膀胱がパンパンの破裂寸前に。
泣く泣く席を立ち、他のお客さんの「なぜこの最高のシーンで席を離れる?」という、さげすみの視線をビシビシと体に浴びながらトイレへ。
涙を流しながらオシッコも流し、何とか戻った時はエンドクレジット。
「仕方ない。もう一度観に来よう…」
と思っていたら、上映期間が終了してしまった…

この数ヶ月、映画を観に行くたびに、いつもこうなってしまうのである。
何か対策を講じねばならない。
オムツ…というのも一瞬、頭をよぎったが、そりゃあんまりだ。却下。
「体を温めれば、頻尿を防げるかもしれない…」
と考え「はちみつ入りショウガ湯」を水筒に準備。
合わせて、ホッカイロを下腹部にヌクリと貼り付けるという、おばあちゃんが可愛い孫にしてあげるような優しさあふれる「おしっこ対策」を自らにほどこし、いざ映画館へ。
作品はクロエ・モレッツ主演の「キャリー」である。

余談だが、海外のスターを「ちゃん付け」で呼んだりするのが気に食わない!
シュワルツネッガーを「シュワちゃん」とか!
タランティーノを「タラちゃん」とか!
何なんだアレは!なれなれしい!

…まあ、それはともかく映画鑑賞。
クライマックス。
いじめに耐え続けてきた、全然いじめられっ娘に見えない愛しのクロエちゃんが、ガッシリとした全身に豚の血を浴びせかけられ、ついに堪忍袋の緒が切れたところで私のおしっこ袋の緒も切れた。
ワシのクロエたんの超能力攻撃を受けて逃げまどうボンクラ学生&教師たち…にまぎれて劇場内から逃げ出すワシ。
血まみれで空を飛ぶカッチョいい倉井クロエを尻目に、泣きながらトイレに駆け込み怒涛の小用!
何とか場内に戻ったものの、恥ずかしくて席に戻れず、横っちょの通路の後ろのほうで心霊写真みたいにたたずんで立ち見。
まだ、劇場が空いていて良かった…
満席状態だったら、周囲の怒りを買うのが怖くて、席を立ち、劇場内から出ていくことができなかっただろう…
そして「出るに出られず出すしかない!」という決断をすることになっただろう。まあ、やむを得まい…いや待てよ…
…という映画と全然関係のない感想を抱きつつ劇場を後にすることになったのであった。

いったい、私はいつまで、この悲劇を繰り返さねばならないのか…
今年も残りあとわずか。
観に行く予定の映画は、公開前から話題騒然の「ゼロ・グラビティ」である。
事故にあった宇宙飛行士の必死の帰還を描くSFサスペンス。
キャメロンが切り開いた3D映画の地平。
そこからさらに一歩進んだ、まるで本当に宇宙空間にいるような、驚愕の体験ができる凄い映画らしい。

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これは、見逃すわけにはいかん!
そして「母ちゃん、おちっこ!」という、チビッ子のような理由で途中で席を立つわけにはいかん!
たぶん混むから立つに立てないし!

そこで調べてみると、頻尿をおさえる「レディガードコーワ」なる薬があることがわかった。
明日、近所の薬局に行って、美人薬剤師さんに ↓

その男、頻尿につき

…と勇気を出して聞いてみよう!
「効くわけないでしょ。レディって書いてあるでしょ。」
と冷たく言われたら、もうオムツだ!オムツ!オムツ!

宇宙飛行士は、オムツを着用していると聞いた。
長時間に及ぶ活動中、尿意をもよおすたびに宇宙服を脱ぐわけにはいかない。
オムツ着用は別に恥ずかしくもない。普通のことである。
「ゼロ・グラビティ」は宇宙空間を体感できる映画…
ということは観客も宇宙飛行士…
ワシも宇宙飛行士…
だから、オムツ着用は別に恥ずかしくない。普通のことである。いや…待てよ…

(おわり)