最近のアニメと80年代のアニメ

ぬおお!
わからん!
最近のアニメが!

どのぐらい、わからないかと言うと、「リリカルなのは」と「プリキュア」と「魔法少女まどか☆マギカ」の区別がつかないぐらい。
つまり、さっぱりわからない。
若いアニメファンの方々に「全然ちゃうやんけ!オッサン、ワレ、アホけ!」とお叱りを頂いても仕方ないレベル。

そんな私も、アニメに夢中だった時期がある。
それは青春を過ごした80年代。
まだ「オタク」という言葉が市民権を得ていなかった頃。
私は、秋田書店から出ていた、「マイアニメ」という雑誌を毎月購読。
新作や、人気マンガのアニメ化決定のニュースにワクワク。
お気に入りアニメは作画監督までチェック。
重要だとニラんだ回の放送時間には
「母ちゃん!今からアニメ見るけえ、話しかけんでよ!集中が乱されるけえ!」
と親不孝きわまりない発言をぶちかましてからテレビにかじりつく。

その、ノメりこみ方の深さたるや、心配した親に家族会議を開かれてしまうほど。
父の出した結論は「アニメばっかり見とらんで、スポーツせえ」というものであった。
なので、言いつけ通り、翌日から「早歩き」で通学。「早歩き」で帰宅。
おかげで、「蒼き流星SPTレイズナー」の前にやっていた「魔法のスターマジカエルエミ」も見れるようになった。スポーツっていいな!つかまえてマイハピネス!

アニメと、マンガと、ファミコンが青春のすべてだった気がする。

そんな私だったが、成長するにつれて、だんだんとアニメを見る機会が減っていった。
別に嫌いになったわけではない。
しかし、ただ、なぜか、何となく、あの頃のような狂熱にあおられてアニメを追いかけることをしなくなり、大人になった今では、ほとんどアニメ界と疎遠に。
欠かさず見ているのは「エヴァ」と「進撃の巨人」ぐらいだろうか。

しかし、番組改変期に、新作アニメのラインナップが発表されたり、若い方々の、アニメの話題で盛り上がっているブログを読ませて頂いたりすると、心が騒ぐ。
「楽しそうだな。やっぱりアニメっていいな。せっかくいい作品がたくさんあるんだから、見ないとモッタイないな」と思う。

しかし…
ぬおお!
わからん!
最近のアニメが!
限りある時間の中で、たくさんの作品の中の、いったい、どれから手をつければいいのか?
作品が多すぎてわからん!
そして、どの作品も何だか凄く面白そうだ!
そして…どの作品も絵がキレイだ!

私が見ていた頃のアニメは、作画が安定していない作品が多かった。
その筆頭に上がるのは、やはり「超時空要塞マクロス」だろう。
クオリティの「高い回」と「低い回」のギャップが、とにかく凄まじかった。
制作費も、時間も、スタッフも足りない、ギリギリの状況だったと聞く。
人件費の安い海外に、作画を発注することもあったとのこと。
そんな回は決まって、美樹本晴彦さんの美麗なキャラデザインとはかけ離れた面妖な人物たちが、Jホラーもビックリの、カクカクした奇怪な動きを披露するのだった。
予告で次回の作画のクオリティがわかるため ↓

次回 超時空要塞マクロス「バージンロード」

…と毎週、一喜一憂したものである。

しかし「超時空要塞マクロス」は、それでも素晴らしい作品だった。
衝撃の「板野サーカス」の登場。
可変メカの面白さ、設定の細かさ。
「歌」と「ストーリー」が、ガッチリと組み合わさって生まれるカタルシス。
そして何より、スタッフの皆さんの熱気。
極上のTVアニメ体験をさせてもらえた。
伝説の第27話「愛は流れる」の熱狂と興奮を、私は絶対に忘れないだろう。
録画したVHSのビデオテープは、今も大切に、実家の押入れの奥にしまってある。

先日、久しぶりに、懐かしく愛おしい思い出に浸ってみようと、押入れを探してみた。
それは、あった。
旧友のような親しみのある、VHSのビデオテープ。
古ぼけたラベルに、つたない字で「超時空要塞マクロス 第27話 愛は流れる」と書いてある。
日曜の早朝にやっていた再放送時の録画。
かすかに、あの頃の朝、母が立っていた台所のニオイがした。
思わず笑みがこぼれる。
捨てずに保管してあった、80年代AV機器の覇者「VHSビデオデッキ」を起動。
赤い電源ランプが無事点灯。老兵は死なずだ。
差込口に思い出のカセットをガチャリとセット。
テープを巻き込む懐かしいモーター音。
高まる胸の鼓動を感じつつ、あの素晴らしいオープニングが始まるのを待つ。

………が、始まったのは、なぜか「欽ドン!」だった。
80年代のバラエティー番組の王者「欽ちゃん」の大ヒット番組「欽ドン!」
どうやら、その特番らしい。
いくら待っても、ヒカルもミンメイも未沙も出てこない。
出てくるのは、欽ちゃんファミリーの皆さんのみ。
流れるのは、ミンメイの歌ではなく、「欽ちゃんバンド」の演奏。
なぜ?
「マクロス」だけにトランスフォーメーションしてしまったのか?「欽ドン!」に。

そういえば、亡くなった母は、欽ちゃんの大ファンであった。
私は、18才の頃、大量のビデオやマンガを実家に置いたまま上京した。
ビデオのツメは折っていなかった。
昨年、実家に戻ったのだが、おそらく私が不在の間に、母が悪気無く、欽ちゃんの特番を上書き録画してしまったのだろう。
「青春を共にした大切なアニメの神回」と思って「欽ドン!」を長い間、大切に保管し続けていた私。
ハイテンションにボケまくる欽ちゃんファミリーの皆さんを見つめながら、私は思わず、こうつぶやいた。
「何でそーなるの?」

(おわり)