怪物のひみつ

変な思いこみをしてしまうことが多い。

以前「2012」という映画を観た時のこと。


この作品、大ヒットしたので、きっとご覧になった方も多いだろう。
古代マヤ文明の予言通り、2012年に地球規模の大災害が起こり、生き残った人々は巨大な船に乗って脱出する…というお話。
大味大作のスペシャリスト・ローランド・エメリッヒ監督の持ち味が存分に発揮されまくった、お気楽ディザスタームービーだ。

最新のCG技術で描かれる世界大破壊をニコニコ楽しく観た。
しかし私は主人公たちが乗って脱出することになる建造中の巨大な船を、なぜか「宇宙船」だと思いこんでいたのである。
「生き残った人々は、滅びゆく地球を捨て、このでっかい船に乗って宇宙に脱出するのだ…」と、なぜか思いこんでいた。
違った。
宇宙じゃなくて普通に海に浮かんだり沈んだりするほうの船だった。
つまりイスカンダルに向かうほうの船じゃなくて、美しい日本三景の一つ宮島に向かう、まあまあ短い航路上、小学校の遠足で乗っていた私がゲボ吐いて、逃げ散らした女子たちが舳先のほうに冬のカマドウマみたいに密集避難したほうの船だった。


なぜ、こんな思いこみをしてしまったのであろうか?

つい先日もこんなことがあった。
地元・広島の「横川シネマ」という映画館にて。
こちらは、マニアックな低予算インディーズ映画の上映や、お笑いライブ、杉作J太郎さんのトークショーなど…さまざまなイベントを行ってくださる、たいへんありがたい映画館。
広島サブカル野郎の私にとって秘密基地的なワクワクする場所なのだ。

横川シネマ
ここで「映画秘宝」の紹介記事をチョイ読みして気になっていた「シークレット・オブ・モンスター」という映画を観ていた。
第一次世界大戦終結後のフランスを舞台に、後に独裁者になる男の幼年期を描いた作品だ。

とにかく主人公プレスコットを演じたトム・スウィートくんの美少年っぷりがモノ凄い。
お顔がスクリーンに映るたび、ショタコン趣味は皆無だと思ってた私もメロメロのスウィートな気分に。


彼が住む古く、大きく、暗い屋敷の雰囲気といい「まるで、うぐいす祥子先生のホラーマンガみたいだな」と思った。
そう!この作品、ホラーばりになんか怖いのだ!
凶暴に不安感をあおりまくるイカす音楽や、いくつかの暗示的なショットや謎めいたシーンの効果もあり、オカルトじゃない「オーメン」みたいな、絶望の未来を予感させる不穏な怖イイ映画になっていた。

ところでこの作品。
私はいつも通りほとんど知識を入れずに観た。
そのせいもあってか、私はこの映画「なんと実はこの子が…!のちのあの人物である!」的な、いわゆる「有名人オチ」のお話だと思いこんでいたのである。
映画とかマンガでよくあるではないか。「実はこの人が、のちの織田信長である!」とか!「実はこの人が、のちのジンギスカンである!」とか!

そのような思いこみがあった上に、池上彰先生の番組とかで不動のツッコまれポジションを築いておられる坂下千里子さんよりも歴史&政治に詳しくない。
そのため、観てる間ずっと「誰オチなんだろう?」と考え続けることに。

「この子がいったい歴史上のどの独裁者になるんだ…?
アメリカ人だからヒトラーはもちろん違うし…
スターリン…って独裁者だっけ?何した人だっけ?遠藤ミチロウさんのメイク顔しか浮かばん!
あと他に誰か独裁者っていたっけ?
あっ!ムッツリスケベみたいな名前の人!何だっけ!?そう!ムッソリーニ!
ん?でもムッソリーニってどこの国の人だっけ?時代が違うっけ?
ん~と、この時代に子供ってことは…え~と、のちにどうなるんだっけ?
誰だ!?誰だ!?この子、のちの誰になるんだ!?
ハッ…!!そうか…!!」↓


…と、激しい混乱の思考の末に完全に誤った気が狂った結論に到達した。
最後まで観たらもちろん違った。
家に帰ってパンフレット開いたら「架空の独裁者の物語」と書いてあった。
小1の子供がいても全然おかしくない齢だが、れきしとせいじの勉強を小1からやり直そうと思った。

ところで幼くして輝かしい栄光を手にしたスター子役は、後に道を踏み外してしまうことも多い。
映画界に舞い降りた天使のようなトム・スウィートくんが、将来トランプさんみたいになりませんよーに!
(おわり)