とがった映画に飢えた広島のサブカルゾンビたちの駆け込み寺こと「横川シネマ」。
つい先日の夜、こちらで映画「14の夜」を観た。
作品の舞台は80年代のある田舎町。
真夏の夜を汗だく血まみれでひた走るは、14歳のモンモン童貞中学生。
そんな彼がめざすはそう!もちろんおっぱい!…という正しい青春映画だ。
監督と同世代の私も今、80年代のマンガを描いている。↓
なのでずっと気になっていた。
捨てられた濡れエロ本、1本千円もするレンタルビデオ、ビーバップかぶれ、ブラックエンジェルズごっこ、チョッパー自転車のワルかっちょいい荷台乗りなどなど…こだわりの80年代青春ディテールのすべてに心当たりありニヤリ!
主要キャラの4人がみんなイイ。
冒頭の「牛乳の蓋ペロッ!」の細かい演技で「お!この子イイね!なかなかやるね!」と思わせ、本当にやる時はやる、いや!ちょっとやりすぎるタカシ。
性なる「オッパイもませろパワー」で相手が暴走族でも大暴走!さすが主人公!
友だちの中ではイバりん坊なのに、ヤンキーたちの前ではショボン!の内輪弁慶な竹内くん、いや!竹肉くん。
そして、ビビってバックレたその竹肉くんに怒り爆発。「あいつハブろうぜ。嫌いなんだよ!」とキッツいリアル中学生感あふれるセリフを炸裂させるサトシ。
さえないパシリかと思ってたら、突然、剣崎順もビックリの閃光のようなスーパーブローを発動!一瞬でタカシを血の海に沈めた上、まさかのフェラチオ強要!タカシ&観客をドン引きさせるミツル。
4人ともみなイイ。
ワキを固めるキャラたちも強力だ。
特に主人公タカシの父。
裏ビデオでオナニー、中学生の息子に見つかりそうになって中学生みたいにアタフタ。
光石研さんが最低のダメおやじっぷりを最高の演技で魅せる!
娘の婚約者を迎えた大切な晩餐を、そのダメさでムチャクチャにしてしまったあげく「もし我、父ならば!これは絶対イヤだ!」という悲劇に見舞われるシーンは爆笑必至だ!
しかし、そんな彼がラストで息子に言い放つ「あのセリフ」はキツそうに聞こえて実は「救い」になっているのだ。届け!タカシに!
そして何といっても浅川梨奈ちゃん演じる「幼なじみの巨乳のメグミ」である。
童貞殺しの前屈胸チラ、射抜くようなするどい眼光、「やれよ!揉めよ!オラ!来いよ!」のビートを刻む名啖呵、なんか妙にドキドキする「ツバびちょびちょびちょ~ん」、族の頭との何気にエロげな関係などなど…タカシやワタシや全男子を奮い勃たせるに充分すぎる破壊力!
今年のMVP(Most・Valuable・Paiotsu)は早くも彼女で決まりではなかろうか。
この映画ではタカシたち4人組の友情は壊れて終わる。再生までは描かれない。
しかし14歳の頃というのは、友だちとたわいのないことでギクシャク、なんとなく疎遠に…ということもありがちだと思う。
ちょっとさみしいがリアルだ。
いっぽう再生する友情も描かれる。
タカシの小学校時代の元トモ・金田は中学に入ってヤンキーデビュー、タカシをパシるようになってしまった。
しかし壊れていた友情は、クライマックスのVS暴走族バトルを経てチョイ再生する。
2人のこの関係が途中のセリフの説明だけでなく、もう少し比重多めで語られていたほうが良かったのかも?
そのほうが、族というラスボスを前にビビるタカシを、敵キャラだった金田が焚きつけるシーンがより燃えるし、その後の「チョイ仲直りした友だちと夜のプールで2人」がもっと感動的だったのかも?…とちょっとだけ思った。
しかしとにかく、夜、学校のプールで友だちとフリチンで泳ぐのは地球上のすべての男子の夢。キラキラしたとてもいいシーンだった。
VHSビデオジャケットや、80年代中坊の放課後の教科書「DUNK」をオマージュした表紙&裏表紙、劇中で童貞軍団を突き動かすAV女優よくしまる今日子さんの袋とじグラビアなどなど…サービスがマン載のパンフレットもイカす。
掲載されている小松公典さんの「ボクらの中坊用語辞典 1987年版」も文章が面白すぎ。
タカシの心の叫びを代弁するかのようなキュウソネコカミのエンディング曲「わかってんだよ」も熱い。
足立紳監督の80年代の青春への想いがこもった、あの頃の夏のしょっぱい汗の味がする、なかなか熱い暑い映画だった。
「できれば夏に観たかったかも!」と、寒風吹きすさぶ中、14の夜みたいに自転車でキコキコ帰りながら思いました。
ところで昔、大槻ケンヂさんが「オッパイマンの唄」という唄を歌ってらした。
「俺はおっぱい病~!」
という凄まじい歌詞で始まる凄まじい唄。
そのオーケンさんがちょっと前「映画秘宝」でメグミ役の浅川梨奈ちゃんと対談。
その中で
「14歳の男子なんてどうやって女の裸を見るかしか考えてない。95%はおっぱいのこと。残りの5%で普段の生活のすべてをまかなってる。」
と言っておられた。
図にするとこんな感じか。↓
オーケンさんは大好きだ。
しかし!
この発言には大いに意義あり!
14歳男子の頭の中はおっぱいだけじゃない!
少なくとも私はこんな感じだったと思う!↓
(おわり)