突然だが皆さんは、ミスアメリカをご存知だろうか?
昔なつかし昭和の頃、テレビでやってた特撮ヒーロー番組「バトルフィーバーJ」に出てくる特撮ヒロインである。(右端の仮面女子がそう)
このようないわゆる「スーパー戦隊シリーズ」には、メンバーの中にたいてい1人は女戦士が混じってるものだが、中でもミスアメリカはかなり異色のお色気キャラだったと思う。
なんかレオタードだし。ハイレグだし。オープニングには「ビキニで前かがみで胸チラ」という童貞必殺ショットもあるし。明るいアメリカ娘主演の洋物AVみたいな「イエ~♥」というセリフもあるし。
あの頃、毎週土曜の夕方、「バトルフィーバーJ」を観て、自分の中の得体の知れない何かが下半身あたりでサタデーナイトフィーバーしてくるのを感じた男の子は多かったと聞く。私だ。イエ~♥
もちろんミスアメリカだけではない。
世代の違う若い方にもわかるよう例を上げさせて頂くと、フジ・アキコ隊員、アンヌ隊員、ビジンダー、ロビンちゃん、ベルスター、デンジピンクなどなど…
特撮ヒロイン。それは男子にとって永遠のあこがれ。色あせぬ桃色の想い出。
そんな私が小学校を卒業、春から中学に通うことになった時のこと。
もう高校生だった兄が
「お前がこれから通う中学の体育教師に、昔、モモレンジャーの中をやっとった、Ⅿ先生ゆう人がおるで。楽しみにしとれ。」
と言ってきた。
異性をビンビンに意識し始める頃であったが、恥ずかしさもあり
「ふ~ん、ほうね。」
とぜんぜん楽しみじゃないフリ。モモレンジャーなんか、女なんか興味ないフリ。男子たるもの興味あるのはアカレンジャーのポジションのみのフリ。
しかしもちろん頭の中は桃色一色である。
「モモレンジャーの中をやっとった体育の先生かあ…色白で…ほっぺたは桃色で…元気でちょっと厳しいけど根は優しくて…そばによると甘酸っぱい桃のニオイがして…」 ↓
入学すると「元モモレンジャーの中の人、Ⅿ先生はどの人だろう?」といつもキョロキョロ。
そして初めての体育の授業の日。そのⅯ先生が自分のクラスの担当であることがわかった。
ヒマを持てあましたキチガイ軍人たちの遊び「人間狩り」で四方八方降り注ぐ銃弾から逃げ惑う捕虜の恐怖をドッジボールで感じてたぐらい運動が苦手なため、体育の授業はいつも緊張でドキドキしていた私も、この時ばかりは別の意味でドキドキ。
あこがれのモモレンジャーに会えるのを今か今かと待った。
そして集合の笛がピーと鳴り、整列した私たち男子の前についにその人が姿を現した。↓
小柄でヒゲが濃いオッサンがそこにいた。
初日の自己紹介がてら話してくれたのだが、何でもⅯ先生は体育大学に通っていた頃、バイトで仮面ライダーの敵・ショッカーの戦闘員をずっとやっていたとのこと。
休憩中にライダーと並んでお茶を飲んでると、見学のチビッ子たちに石を投げられたりすることもあり、何だかションボリなバイト生活。
そんなある日「ヒーローの役が来てるが、やるか?」と電話。もちろん「やります!」と即答。現場へGO!GO!レッツGO!
「初のヒーローだ!さあ、どんな衣装かなっ!?」とワクワクしながら用意された衣装箱を開けると、真っピンクのスーツが目に飛び込んできてそのまま後ろに倒れそうになったそうな。
「よりによって…しかし、ショッカーとしてチビッ子たちにさげすまれる毎日よりはマシ。」
と思い覚悟完了。男だてらにピンクの衣装を身にまとい、モモレンジャーとして戦ったとのことであった。(役柄上、小柄であること、バク転ができることが必須だったらしい)
あこがれのモモレンジャーの中の人は小柄なオッサンだった。
そばに寄ると甘酸っぱい桃…を収穫する農家のオジサンの汗のニオイがした。
そしてまあまあ口うるさく、うかつにすれ違うと「髪が茶色い」とか「第一ボタンがはずれとる」とかイチイチ注意。
そのため廊下の向こうに姿が見えたりすると「来たっ!モモレンジャー来たっ!」と、みんなきびすを返して逃げ出し、モモレンジャーなのに完全にワルモノみたいになっておりそれはちょっと気の毒であった。
兄にモモレンジャーに会ったことを話し
「じゃろ?モモレンジャー、男じゃったじゃろ?ワハハハ!」
「うん、ちっこいオッサンじゃった!でもさすがモモレンジャー、こないだ不良と口ゲンカしとった!ワハハハ!」
と2人で腹を抱えて爆笑した。
ところで、ちょっと前のこと。
こんなツイートが流れてきた。↓
ミスアメリカはイイなー。チンコデカくて。 pic.twitter.com/hUj1vovsga
— カイウー (@QUAIWOO) 2017年4月10日
突如目に飛び込んできたミスアメリカのアメリカ代表クラスのモノに、チンコをフルフル震わせて悶絶。すると追い打ちをかけるように、マンガ家・祟山祟(たかやま たたり)先生の次のようなツイートが流れてきた。↓
おさなきころ、奈良の生駒のジャスコにバトルフィーバーのショーみにいって、当時なんだか特別な感情をいだいていたので、ミスアメリカのそばに行ったらむさくるしい息づかいが聞こえてきて混乱した https://t.co/wfmbu0lBRI
— 高山タタリたかやまたたり 崇山祟 (@takayamatatari) 2017年4月10日
ひばり書房系の昭和怪奇マンガのテイストが炸裂する超大傑作マンガ「恐怖の口が目女」をWebで公開(しかも無料!)、全世界の好き者を口から目が飛び出るほど驚かせた祟山先生のこのツイート。
モモレンジャーⅯ先生のことも思い出し、あの時と同じように腹を抱えて爆笑した。
(おわり)