桃色映画館 かこむ!

もうだいぶ前。
ポルノ映画館に行ってみた時のこと。

おそらく最近の男子のみなさまは、初めてのエロ映像体験というのはインターネットですませるのではないかと思う。
私の若い頃はインターネットなんてまだなかった。…っていうか「パソコン」のこと「マイコン」って呼んでた。

その頃の10代モンモン男子にとって年齢をいつわってAVを借りたり、ポルノ映画館に入ったりするのは性春時代の大切な冒険の一つ。
しかし私はAVはともかく、ポルノ映画館童貞のまま大人になってしまった。

人生一度きり。何事も経験。
ポルノ映画館というものがどんな場所なのか?いつか一度は行ってみるべきだ…と常日頃から思っていたところ、某ポルノ映画館で「母娘監禁 牝」(ははこかんきん めす)という珍しい作品がかかっているのを知り、良い機会と出かけたのである。

「悦楽熟女 したい!」とか「喪服人妻 濡らす!」みたいな、ポルノ映画特有の「タイトル+サブタイトル」という法則にそったワイルドきわまりない作品名のポスターがベタベタ貼られたその映画館の前に到着。
昼間だったしOLさんとかが普通に歩いていたので私もただのサラリーマンを装い映画館の前を20往復ぐらいウロウロした後、一瞬の隙をついて横っ飛びにピョイ~ンとナチュラルに進入成功。

昭和の始めごろで時計の針が止まったままのような趣のロビー。
奥の事務所でストーブにあたりながらテレビを観ていたおじいさまに声をかける。昔懐かし駄菓子屋さんシステムだ。
ノソリ出てきたおじいさまに料金を支払う。
1800円。これで同時上映の3本をすべて鑑賞可能。入れ替え制ではない。そうそう映画館って昔はこうだった。ホントに昭和のままだ。最近のシネコンとえらい違いである。

ドキドキしつつ館内に入る。
すると…なんか…異様に暗い!
すでに作品を上映中とはいえ、足元がおぼつかないほど暗い。座席が全然見えない。誘導灯のようなものが何もないのだ。

目を凝らしよく見つめると、ポツリポツリ5つか6つ、黒い人影らしきものが。
暗闇にやっと慣れて来た私の目が見たのはちょっとビックリな光景であった。
ある人は思いっきりスマホをいじり、またある人は弁当をムシャムシャ。
そしてカチリと音がしたので「もしや」と思って見ると、最後列の人影がライターでタバコに火をつけて思いっきりスパリ。煙モクモク。
他の映画館でやったら映画泥棒じゃなくても袋叩きにされそうなことばかりである。

猥雑な雰囲気にビビりつつも何とか手探りで席につき作品を鑑賞。
1本目は温泉宿に泊まったOL二人組がオッサンを逆ナン。
飲み散らかしたあげくオッサンの裸体に料理を並べる。「女体盛り」ならぬ「男体盛り」だ。
そして料理もオッサンの肉体もむさぼりつつ「あっ!松茸発見」などというチン台詞も景気よく飛び出すなかなか愉快な作品。

2本目はこれまた温泉宿に泊まったスランプでインポの作家がそこの仲居さんと部屋や露天風呂でセックスして、スランプもインポも治るという、たぶん脚本家の方はスランプだったに違いないなかなか愉快な作品。

そして待望の「母娘監禁 牝」である。
これは知る人ぞ知る日活ロマンポルノの名作の1本なのだ。


作品紹介などを読むとよく「監禁された娘を助けに来た母も同じ男たちに輪姦される!」と地獄のようなことが書いてあるが、観てみると印象はだいぶ違う。
死にあこがれを抱く少女と、テレクラで知り合った男との歪んだ恋愛を描いた作品であり、壮絶なレイプものではない。
主演は、今は作家としても活躍中の前川麻子さん。とにかくこの作品の前川さんがかわいくて!かわいくて!
白く細い体。舌っ足らずの声。はにかみ、すね、おそれる仕草の一つ一つにメロメロに魅了されること間違いなし。こんな子に会えるのなら行く!ワシも!テレクラへ!
主題歌は「風立ちぬ」でもおなじみ「ひこうき雲」。脚本は荒井晴彦さんという豪華さ。
一時代を築いた日活ロマンポルノのパワーを今さらながら思い知った。

投身自殺でビルの上から落ちてきた友人と目が合うという衝撃のファーストシーンから完全にスクリーンに釘付けになり、見入っていると何やら真後ろにゴソゴソと人の気配が。
私が入ったあとも新たな客はあったが、まだまだガラガラ。10人ぐらい。いくらでも席はある。なのになぜか私の真後ろに人が座ったのである。息がかかるぐらいピッタリと真後ろ。↓

ポルノ映画館がハッテン場になっていることが多いのは知っていた。
しかし私は普通に映画を観に来ており、そんなサインは出してない。
それにブスだ。リアルに似せるとキモいだけなのでこのブログの似顔絵はちょっと80パーセントぐらい実物より可愛げに描いているが、ホントの私は陰気で病気のゴリラのような風貌をしておりセックスアピールは限りなくゼロに等しい。メスゴリラも逃げ出すレベル。そっち系の方の対象として見られるとはとても思えない。しかし… ↓

これはどうしたことであろうか?
謎の男性たちは私を取り囲むように座り、しきりとスマホをいじくったりしている。
さすがにちょっと怖くなり、「す…すいません」と立ち上がり、誰もいない最前列に席移動。
何とか作品をラストまで観ることができた。

後でわかったのだが、やはりその映画館もハッテン場として使われていた。
掲示板的なものに「今、場内にいます」とか「どこそこに座っています」とかスマホで書き込んでお互いにやり取りをし、出会いを実現されているとのこと。どうやら私はその中に巻き込まれてしまったらしい。「桃色映画館 かこむ!」みたいになってしまいちょっとビビったがハッテン場はもちろん必要であるし、映画館の懐かしい昭和な雰囲気はなかなか良かったし、「母娘監禁 牝」も最高だった。
またどこかのポルノ映画館で良い作品がかかったら行ってみようと思っている。
(おわり)