はじめてのストリップ

ちょっと前、生まれてはじめてストリップを観に行った。
大槻ケンヂさんが以前からコラムなどで、ストリップ界の殿堂《浅草ロック座》のすばらしさについてたびたび熱弁しておられ、ずっと興味はあったがなんとなく機会を逃し続けてきた。
しかしこのたび、「広島が誇るヌードの殿堂《広島第一劇場》にあのワカミホこと若林美保さんが降臨!」という情報をゲット。
様々なパフォーマンスや映像作品への出演、最近では全5話全主演のワカミホづくしオムニバス映画『プレイルーム』が国内外で話題となった若林美保さんが広島に!こりゃ良い機会と出かけた。

 

1975年からずっとこの地で興行を続けておられる《広島第一劇場》。
広島人だが初めて見る。
その姿はまるで、地図を頼りに街をさまよううちに時空がゆがんでタイムスリップしてしまったんじゃないかと思うような、堂々たる昭和レトロなたたずまいだった。
「こたつにおばあちゃんが座ってる駄菓子屋」みたいな生活臭漂う雰囲気のロビーも懐かしさ満点で最高だ。

 

 

雨にもかかわらず場内はほぼ満席。
ウワサには聞いていたが女性客も非常に多い。ボッチの方もいる。
そういえばトイレなどに痴漢行為はもちろん、自慰行為を禁止する頼もしい張り紙が貼ってあった。
こうした劇場側の努力がストリップ界を健全化させ、女性客の獲得につながっていったのだろう。スタッフの方の応対も丁寧。雰囲気はとても親しみやすい。

そんな中、ショーが始まった。
トップはワカミホさん!私的にいきなりクライマックス!
この日のワカミホさんの演目は、桜井明弘さんの『女優になれなかったAV女優の話』という歌がモチーフらしい。

 

桜井明弘『女優になれなかったAV女優の話』@第332回マンスリーライブin高円寺グッドマン

 


華やかな芸能界での活躍を夢見るも叶わず、無残に散り、忘れられていったAV女優への哀悼を魂を込めて歌った名曲。その切ない世界をダンス&パフォーマンスで見事に再現。ストリップでもあり、超上質な一人芝居でもあった。

 

驚いたのは露出度である。私は「大切な部分」はギリギリで隠すのかと思っていたのだ。
違った。露出度100%。完全フルヌードだった。
しかし「エロさ」「いやらしさ」みたいなものは感じない。感じるのは孤高の野性動物のような「美しさ」「カッコよさ」だ。
見事に引き締まったワカミホ・ボディを観ながら「女の人の体ってやっぱ凄いカッコいいもんだな」と改めて思った。
それに比べて男のフリチン姿は自分のも含めてなんかどうしてもプルプル笑っちゃうのですが!あのチンタマのブラブラプルプルがなんかもう!どうしても!恐るべき笑いの振り子となり腹筋を崩壊させる!
女の人から見たらそうでもないのだろうか?男のフルヌードもカッコイイものなのだろうか?
女と男の間に横たわるこの深淵な謎を解き明かすべく、いつか本通りのアーケード街を全裸全力疾走して答えをつかむと同時に警察に捕まろう!

 

それはともかくパフォーマンスの後は写真撮影コーナー。
希望者の方は千円で踊り子さんの写真が撮れるのだ。
お好みのポーズに応えて頂けるし、2ショットもOK!ちょっとしたトークやプレゼントを渡すこともできる。
撮影希望者の皆さんに一人一人丁寧にあの輝くような笑顔でニコニコ神対応するワカミホさん。女性も含めてズラリ並んだ列の長さにも納得の女神っぷりだ。

 

そして最後にもう一度パフォーマンス!
背中にでっかく「若林美保」と描かれたハッピを素肌の上にイナセに羽織り、回転する舞台の上で、お客さんのすぐそばまでグッとせまってニッコリとポーズ!
そしてスタッフさんなのか?お客さんなのか?ステージ左右にスタンバってた謎のオジサマたちによって、祝祭の花火のごとくド派手に次々と発射される紙テープがステージを鮮やかに彩る!
みんなは音楽に合わせて手拍子!会場一体大興奮のフィニッシュだ!

 

熱くなった会場に次々と本日の舞姫たちが降臨。
「道劇のエマニエル」こと愛野いづみさんは、シルビア・クリステルも裸で逃げ出すわがままボディを深紅のドレスに包み、タンゴに合わせて花びらのように舞う!

 

お次は2次元から抜け出してきたようなアニメ顔、アニメ声、そして見事なスレンダープロポーションを持つ鶴見つばささん。
桐谷健太さんの『海の声』など、オーシャンテイストな曲に合わせてのパフォーマンス。
孤独な船乗りを癒すマーメイドのような優しい微笑を浮かべつつ、ヨガマスターもビックリの柔軟さで難易度高そうなポーズをビシビシと決め、そのたびに海鳴りのような拍手が巻き起こる!

 

トリはロック座のビッグスター・鈴香音色さん。
青い衣装をまとってキレキレのダンスから一転、白いローブにスルリとチェンジ。鬼塚ちひろさんの『月光』に合わせ幻想的な演舞を展開。
物販タイムでも「このTシャツ3,900円なんだけどおつりが足りないのでみなさんピッタリで払って…いや!やっぱり4千円で大丈夫です!でも最初に買う方が全部百円玉で払って下さい!」とユーモアセールストークで場内を完全に魅了するゴッズチャイルドっぷり。

 

 

本日香盤の4人の踊り子さんたちの舞台を見終え、席を立ちロビーに出た。
ところでワカミホさんのレパートリーに「うる星やつらのラムちゃん」があると聞いていた。
「今日の演目《女優になれなかったAV女優の話》も良かったけど、ラムちゃんも観てみたいのう…いつかまた来よう…」と思ったその時!扉ごしに場内から、懐かしの80年代アニソン『ラムのラブソング』がウフフン♡と聞こえてきた。
「こ…これは、まさか!いや…しかし今日の香盤の踊り子さんたちの演目を、もうすべて観終えてしまった。会場に入るにはまた料金を…ん?でも他のお客さんたち全然出てこないぞ…?これはもしかして…えーい!ままよ!」
と場内に再突入!

 

そこには先ほどのお客さんたちが、先ほどと同じようにニコニコと舞台を観ていた。
私は勘違いしていた。入れ替え制ではなかった。最初に払った5,000円でずっと一日中いてよかった。イカす昭和の映画館方式!
そしてステージでは、セーラー服を脱ぎ、魅惑の虎じまビキニ姿を披露したワカミホさんがホントにラムちゃんみたいに宙を舞っていた。

 

 

「エアリアルシルク」というらしい。
天井から吊り下げられた美しい布に、体の各部位を絡ませてロック。空中でクルクル回転したり、ビシッとポーズを決めたり華麗にアクロバット!
頭から真っ逆さまに転落!…という危険性も当然あるはず。かなりの鍛錬が必要なパフォーマンスだと思う。

 

 

鍛え抜かれた空中技を笑顔で次々と繰り出すワカミホさんに、みな惜しみない拍手を贈っていた。(それにしても、『ラムのラブソング』に始まり、私が10代の頃に観て一番泣いた映画『劇場版 うる星やつら 完結篇』のエンディングテーマ『好き♡嫌い』、そして撮影コーナーで流れていた『愛はブーメラン』というツウな選曲。ワカミホさんはかなりのうる星マニアなのではなかろうか?)

 

《広島第一劇場》は「2018年の夏で閉館」の悲しいニュースが流れたが、めでたく「なんちゃって閉館」となり、現在も継続して営業中。
しかし、それがいつまでかは未定とのこと。
土地契約のなんちゃらかんちゃらとか色々と複雑な大人の事情があるらしい。
しかし中国地方で唯一のストリップ劇場。他県にもエッヘン自慢できる貴重な昭和文化遺産。できれば原爆ドームと同じようにずっと建ち続けていて欲しい。

 

そんな《広島第一劇場》を舞台にした映画『彼女は夢で踊る』が昨年公開された。
閉館がせまるストリップ劇場の館主が、謎の若い踊り子・サラと出会うことで、忘れがたき昔の恋を思い出す。しかし実はサラは…
広島で実際にロケをし、地元スターの皆さんも多数参加なさった、ばり切なくもぶち美しい、メイドイン広島なご当地映画の力作だ。
私も広島が誇るサブカル系シネマの殿堂・横川シネマさんに観に行ったのだがほぼ満員だった。聞くところによると連日大盛況だったそうである。

 

 

このように、みんなに愛されている《広島第一劇場》。
もしも「ストリップ=いかがわしい」というような偏見をまだお持ちであれば、そんなものは猛暑炎天下で着る毛皮のロングコートぐらい無用の長物!スカッと脱ぎ捨てて《広島第一劇場》にストリップを観に行こう!
(おわり)

■広島第一劇場のホームページです↓

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