2021年に観た映画 私のベスト10

 

遅くなりまして今さらですが、年末年始ごろ皆さんやってた「映画ベスト10」を私もやっとやらせて頂きます。(ネタバレ全開!)
去年、世間はステイホームがちだったらしいのですが、私は、帝愛グループの地下強制労働施設に堕ちたカイジの顔で週8日ぐらい、三密、汗だくで働き「コロナ禍の中、映画館に行くのが命がけだった…」というような大変カッチョよろしい戦士のようなSNSの投稿を目にするたび、世間と自分のギャップを思い知る、胸がざわざわする1年でした。毎年のことですが!

 

 

2021年に観た映画 私のベスト10


10位 『犬ころたちの唄』

 

一方的にではあるが存じ上げている方や、知っている場所がスクリーンに写りまくっているというだけでも何だか ぶち大興奮のご当地広島ムービー。
致命的にエグい描写は、ぎりセーフでしない演出が心に優しくて良かった。
監督&ヒロインを演じた前田多美さんもキラキラかわいかった。
クライマックスの『カメ止め』もビックリな長回しにもビックリ!
あんな凄いシーン、よく撮りましたナー!

 

 

 


9位 『ひらいて』

 

かなりの露出度でヒロインを演じた山田杏奈さんのモンスター美少女っぷりにとにかくドキドキしっぱなし!「オッサンってほんとイヤだな。もうチンチンもいじゃおうかな。」と思った。
しかし同時に「あのシーン」で下着をつけたままなのがメジャー資本の日本映画の限界かなとも思った。
ハリウッド映画や韓国映画だったらたぶんあそこはマッパで体をひらいている!
別に山田杏奈さんのオッパイが見たいわけではない!断じて!

 

それと萩原聖人さんの「かまぼこを食べさせようとする」シーン。妙に気持ち悪くて良かった。
最初、萩原聖人さんだと気づかないぐらいの禍々しさだった。

ひらいて
成績もよくて、明るくて目立つタイプの愛(山田杏奈)は、同じクラスの”たとえ”(作間龍斗)にずっと片思いをしている。ひっそりとした佇まいで寡黙なタイプだけど、聡明さと、どことなく謎め……

 

 

 


8位 『夢幻紳士 人形地獄』

 

我が永遠のアイドル『夢幻紳士』がついに実写で銀幕に降臨!
ニュースを聞いた時はワーキャー大興奮した…っていうかなんか嫉妬すら覚えた。

 

『怪奇編』のクールでイケメンで女殺しなあのキャラを期待すると「あれ?」と思うかもしれない。
皆木正純(みなみ まさずみ)さん演じる夢幻魔実也様は、おどけて舌を出したり、捕縛されたり、全力疾走したりするのだ。
つまり、ストーリーがそうであるように『少年探偵編』と『怪奇編』を合わせたようなキャラクター造形になっていた。
しかしこれはこれでチャーミングで良かった。
また同じ座組で違うエピソードも観てみたい。

夢幻紳士 人形地獄
昭和初期の日本。探偵・夢幻魔実也(皆木正純)は、他人の心を視たり、他人に自由に夢を見せる事ができる。ある夏の終わり、魔実也は道端で聞いた不思議な声に誘われ、木箱から発見された少女・……

 

 

 

 

7位 『花束みたいな恋をした』

 

予告編を観て「ドンヨリしたオッサンのワシには1ミリも関係ない、若者向けのキラキラ映画」なのだろうと思ってスルーしかけていた。
宇多丸さんをはじめ、いろんな人の大興奮レビューを見聞きし、「どうやら思ったのと違うらしい…」と知り、観に行ったらホントに違ってすごく良かった。
押井守をキューピットにして出会ったサブカルぼっち男女の、恋の始まりと、天国の時と、その終わりを描いた、万年サブカルぼっち野郎の私にはドンピシャな良作恋愛映画だった。

 

ナナメ前に座っていた女性が、終盤の「あの喫茶店のシーン」で、スクリーンの中の2人と一緒に泣いていた。
「きっと、みんな自分の恋愛体験と重ね合わせて観るんだろうな…」とダダ泣きしながら思った。
恋が終わる話だが、切ないだけでなく、鑑賞後は不思議とさわやか!優れた恋愛映画を観たあと特有の胸キュン多幸感があるのも良かった。

 

話題になってた凝りすぎパンフもホントにセンスの塊だった。
ラブシーンでやっぱり全然脱いでないのだけ気になった。
別に有村架純たんのオッパイが見たいわけではない!断じて!

花束みたいな恋をした
東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った山音 麦と八谷 絹。好きな音楽や映画が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしなが……

 

 

 

6位 『扉を閉めた女教師』

 

伏線が巧みに効きまくったシッカリしたストーリーがあって、きちんとエロくて、オッパイもいっぱいちゃんと見れて良かった。そして見終わった後なぜかなんだか清々しい!
このクオリティの作品を季刊誌ばりのハイペースで常に量産し続ける城定秀夫さんはホントに世界一の映画監督だと思う。

 

きっとこの先、カンヌとかヴェネチアとかセレブ気取りの気にくわない映画祭が偉そうに上から目線で城定さんに賞を与えてくる日が来ると思うが「あんたらが今さら誉めなくても、ワシらはもうずっと前から城定さんの凄さを知っとったわ!」と、いつの日か心から叫びたい。

扉を閉めた女教師
明日から夏休みの午後の学校。いじめられっ子の男子生徒と女性教師が、うっかり体育倉庫に閉じ込められてしまう。夏休みともなれば、いつ外に出られるかは定かではない。襲いくる猛烈な厚さに汗……

 

 

 

5位 『JUNK HEAD』

 

ご自身が生み出した世界を、ジャンク品一個に至る細部まで徹底的に作りこもうとする、狂ったプラモ少年のような神々しいパワーに圧倒される至福の映像体験。
デザイン、アクション、うんこちんこな下ネタ含有ギャグ、セリフ、音楽などなど…何もかもすべて凝り過ぎててすばらしかった。

JUNK HEAD(字幕版)
<壮大な3部作第一章>環境破壊が止まらず、もはや地上は住めないほど汚染された。人類は地下開発を目指し、その労働力として人工生命体マリガンを創造する。ところが、自我に目覚めたマリガン……

 

 

 

4位 『無頼』

 

速報が流れた時「ひっさびさの井筒バイオレンスじゃあ~!」と狂喜!
しかし地方ゆえなかなか上映されず一日春夏秋冬の思いで待つことに。
そんな時、《映画秘宝》の「2020年度 ベスト10&トホホ10」で、あの白石晃士監督が「トホホ10」に挙げておられビックリ!
曰く「ボチボチの面白さが雑な構成で続いて何となく終わってトホホ。」とのこと。
ガーン!そ…そんなバカな!

 

しかし、やっと広島にも来たので観てガーン!
憚りながら確かにその通り。ストーリーが雑な構成。ガーン!
『ゴッドファーザーPART2』とか『グッドフェローズ』みたいに不良少年が知力体力を駆使してガンガンのし上がっていくワクワクするよなノリが、いまいちうまく出ていない気がした。

 

劇中の誰かが死んで主人公たちがションボリ泣いても、観てるこっちは全然泣けないのもションボリだった。
でもやっぱ井筒さんのアウトロー映画、なんか好きなんだよなー!

無頼
太平洋戦争に敗れ、貧困と無秩序の中にいた日本人は、焼け跡から立ち上がり(理想の時代)、高度経済成長の下で所得倍増を追い(夢の時代)、バブル崩壊まで欲望のままに生き(虚構の時代)、そ……

 

 

 

3位 『うまれる』

 

いじめで娘を亡くした母親の皆殺し復讐劇。
《広島こわい映画祭》で鑑賞。
上映後の監督トークコーナーでインタビュアーの女性の方が号泣しておられ、監督に「大丈夫ですか?」と心配される一幕も。でも「あのお姉さんが号泣するのは仕方ない。」と観客席で号泣しながら思った。

 

投票により、この「旭川女子中学生いじめ凍死事件」の被害者の方に捧げられた本作がグランプリ受賞。私も迷わず本作に1票を投じさせて頂いた。
今までの人生の中で観たすべての「いじめテーマの映画」の中でも、今のところグランプリ。
もっと広く、多くの方に観られるべき作品だと思う。

 

 

 

2位 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

 

前にブログで「今回始まった新しい『エヴァ』はパラレルワールド的な別の作品だと思う。」とかなんとか書いた自分を恥じた。
テレビ版、旧劇場版も包括し「ネオンジェネシス(新世紀)」という作品タイトルをカバーすることまでもやってみせた「すべてに落とし前をつける!」という気概に満ちた大きな作品だった。

 

キャラクターたちの心も一人一人本当に丁寧に補完してあり、庵野監督の優しさを感じた。「気持ち悪い」じゃなくて「気持ち良い」劇終だった。
ちびっ子の頃、リアルタイムで映画館で観た『さよならジュピター』の主題歌が流れた時はもうたまらずドバッと涙が流れた。

 

難しいこと、細かい意味はあいかわらずよくわからんところも多かったが、エヴァはそれもチャームポイント。あいかわらずサービスサービスなすごい作品だった。こりゃ時間かかってもそりゃしゃあない。大満足!
これで心おきなく言える。
さようなら!すべてのエヴァンゲリオン!

シン・エヴァンゲリオン劇場版
新たな劇場版シリーズの第4部であり、完結編。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく……

 

 

 


1位 『孤狼の血 LEVEL2』

 

待ちに待った広島弁バイオレンスの第二弾がついに撃ち込まれた!
完成度は期待通り!
「暴力映画の本場《韓国映画界》にカチコミできるのはもう白石組しかない!日本映画界の一匹狼!」とあらためて思った。

 

そしてなんといってもこの人!
貧困や虐待や差別の沼から生まれたモンスター・ヤクザ上林を演じた鈴木亮平さんが凄い。
他の役者さんもみんな良かったけれど、とにかく鈴木亮平さんがぶち凄い。これに尽きる。
観てて「こんなヤツに的かけられたら、もう諦めて抱かれたほうがまし。」と思った。
あまりにも凄くて、またすぐ会いたくて、翌週もう一度観に行った。こりゃもう恋である。

 

その怪物の生まれ故郷として《基町アパート》を出してきたのも凄いと思った。
この点に関しては、あの原一男監督を始めとして数々のドキュメンタリー映画監督と対等の対談をバチバチにこなしてきた、広島出身の全身知的武装お笑い芸人カドカイシュウさんも指摘しておられた。↓

 

 

脚本の池上純哉さんも監督の白石 和彌さんも広島出身ではない。
なのに「あのシーン」で《基町アパート》を出せた。
これは本当に凄いことだと思う。

 

基町アパート。広島市のほぼど真ん中にポッカリと白く浮かび上がる不思議な城塞のよう

ウーバーイーツ配達員が震えあがる、巨大迷路のようになっている。

市内のほぼど真ん中なのに、シャッター街になってしまっており、独特の寂寥感がただよう。私は好きな雰囲気。

昭和で時が止まってしまっているかのような不思議な風景がたくさん

隣接地にサッカースタジアムの建築が始まっている。完成すれば人の流れが変わり、この独特の雰囲気も失われるのかもしれない。 聖地巡礼したい方は今のうち!

チンタが上林にボコられていた焼肉屋

 

 

ところで「今回こんなすごい最高の悪役を出してしまい、LEVEL3はいったいどうするんかいのう?」と心配になってしまったが、前作の時も「大上が死んでしまった!役所広司さん演じるこのキャラが作品の大きな魅力だったのに!続編決定しとるらしいけど、大上なしでいったいどうするんかいのう!」と心配していてこの結果だったので次もたぶん心配無用!

 


10位 『犬ころたちの唄』
9位 『ひらいて』
8位 『夢幻紳士』
7位 『花束みたいな恋をした』
6位 『扉を閉めた女教師』
5位 『JUNKHEAD』
4位 『無頼』
3位 『生まれる』
2位 『シン・エヴァンゲリヲン劇場版』
1位 『孤狼の血 LEVEL2』

 

 

そんなこんなで発表がたいへん遅くなり過ぎましたが「2021年に観た映画 私のベスト10」は以上のようになりました。
他には『ゴジラVSコング』『彼女はひとり』『BLUE』『空白』『すばらしき世界』なども見応えがあった。
特に『BLUE』と『空白』を連打してきた吉田恵輔監督はすごいクオリティーですごいペースですごいと思った。
ボクシング好きなので『BLUE』はパチンコ屋の兄ちゃんが自動車免許ぐらいの難度で普通にプロボクサーになれてしまうのだけちょっと気になった。
でも勝てない優しいボクサー「ウリちゃん」を演じた松山ケンイチさんがあまりにも良くて「嫁に行くならワシャ絶対にウリちゃんのとこがいい」と思った。

 

ところで1位に選ばせて頂いた『孤狼の血 LEVEL2』はコロナのせいで一個飛ばしではあったが満席だった。
そろそろコロナ熱も治まって「完全満席の熱気ムンムン状態でみんなで映画を観る」という光景も戻ってくるのかもしれない。
ちなみにワクチンは一度も打っていない。陰謀論を唱えるつもりはないが、色々怪しすぎて一切なにも信用していない。
こういうことを言うと「お前みたいなのがいるからコロナが治まらなくてみんなが困るのだ!」などとおっしゃる困る方が時々おられる。
たいぎいんじゃ わりゃあー!

 


(おわり)