謎のトラウマ映画

 

いまさらながら映画評論家・町山智浩さんの著書『トラウマ映画館』を読んだ。
いや、正確に言うと100ページぐらいだけ読んだ。そこでやめた。
面白くなかったからではない。

 

たまたまチビッ子の時にテレビとかで観てしまったりしたら、心に強烈なトラウマを残しかねないヤバ面白い映画を、あの世界一面白い映画雑誌《映画秘宝》を創った町山さんが紹介しまくったこの本。
面白くないワケがない。

 

ただ…この本…
ひどい!
ネタバレが!
紹介している作品のストーリー展開はもちろん、オチや犯人などもわかってしまう。
また、途中で引き合いに出した他の作品、例えば『シックスセンス』や『ゾンゲリア』の、アガサ・クリスティーだってビックリすること間違いなしのあのオチなんかも、あっさりハッキリ書いてありビックリすること間違いなし!ズコー!すでに観てて良かった!
なのでこの本の読み方としては、目次を読み、紹介してある作品を観て、それから読むのがいいのではないだろうか?(それでも完全には回避できないかもですが)
読むのを途中でやめたのはそんなワケである。

 

ちなみに本書で紹介されている作品は、以前は視聴困難な作品が多かった。
しかし今はほとんどがソフト化、配信などがされていると思う。
そしてどの作品もそのトラウマ級のエグさ、面白さは保証付き。さすが町山さん推し。
特に他の記事でも書かせて頂いたが『ある戦慄』のあのイヤさときたらもう…
イヤな通勤電車に乗るのがますますイヤになり、八王子から新宿でもジョギング通勤を真剣に検討し始めることになるだろう。
絵空事ではなく、電車でスマホでこれを読んでいるアナタにも!今、この瞬間に襲い来るかもしれない恐怖なのだ。

 

ところで本書が発売された時のこと。
宇多丸さんのラジオ番組《ウィークエンドシャッフル》に町山さんが降臨。
《素晴らしきトラウマ映画の世界》という特別企画が行われた。

 

「昔、どこかでたまたま観た映画…タイトルはわからない…記憶もボンヤリ…シーンも断片的にしか覚えていない…
しかし!その作品は強烈な恐ろしい印象、トラウマをガッチリと心に残している。いったいあれは何という映画だったのか?」

 

そんな記憶の迷宮で迷子になっているトラウマ映画をリスナーのみなさんから大募集。
映画探偵・町山さんが片っぱしから解決。タイトルをズバッと言い当てていくという企画だ。
たとえば…

 

リスナー「タイトルは思い出せないのですが、たぶんTBSで放映された映画で、たしか高圧電線か何かが切れて地面に垂れ下がり…」
町山さん「スクワームッ!スクワームッ!スクワームッ!」

 

…という感じである。
どうやらイイ感じに酔っぱらっておられるらしい町山さんの物知り小学生みたいなはしゃぎっぷりが何かカワイイ。

 

 

他のゲストのみなさんも、高橋ヨシキさん、コンバットRECさん、吉田豪さんと超豪華サブカル怪獣オールスターズ。これで盛り上がらないワケがない。
放課後男子のキャッキャ感あふれる楽しい放送だった。
ちなみに送られてきたお便りの中には「まったく中身はわからない…浜辺に男の人がたくさんむらがっていて何かしてるんだけど思い出せない…カラーか白黒かもわからない…」というような、記憶がボンヤリしすぎていて解決するには手がかりが少なすぎ、名探偵も匙を投げるモノもあり「そんなんわかるかいッ!」と死ぬほど笑った。
ホントはダメだがYOUのTubeでも観れるっぽいので興味があるならYOU、観ちゃいなよ!

 

 

ところで私にも。
このような謎のトラウマ映画がある。
あれはたしか…小学校低学年の夏休み。
年に1度の楽しい家族旅行の夜。旅館にて。
他の家族はもう寝ており、私だけ布団にくるまりテレビを観ていた。そこでたまたま出会ってしまった映画だ。

 

舞台はどこか外国。海のある乾いた感じの街。
その海にいる魚・バラクーダが狂暴化して人を襲う。
しかしその原因は実は政府の軍事目的で開発された薬か何かの実験。
真相をつかんだ主人公たちが、狂暴化した街の人だったか、もしくは政府の手先たちに「俺たちに明日はない」ぐらいマシンガンで乱射されて明日がなくなるという地獄のようなシーンのストップモーションで唐突に終わる…

 

「ジョーズ系のモンスター映画かな?」と何となくワクワク観始めた私は、まさかの人間社会怖い系ドンヨリエンドにドンヨリ。トラウマばっちり。そしてチビッ子の頃というのはこういうショックをモロに受ける。
「なぜ、せっかくの楽しい家族旅行でワシはこんなドンヨリ映画を…」
…と観てしまったことを心底後悔。翌朝からションボリ無口に。
前日は「河原で石を積んでダムを作り、川の流れをせき止める」という何が面白いのかサッパリわからない遊びでビーバーもビックリなぐらいキャッキャと海パン一丁ではしゃいでいた私のあまりの変貌ぶりを家族も心配したのだった。

 

この映画、タイトルを覚えており、たぶんズバリ『バラクーダ』だったと思う。
ところがここからが変。
その後、大人になってから調べてみてもわからないのである。
『バラクーダ』で検索しても、出てくるのはベトナム帰りの中年のオッサンが何か超がんばるっぽい映画だけ。

 

 

こんなアクション映画じゃない。同じなのはマシンガンぐらい。
タイトルが違うのだろうか?『バラクーダ』だったと思うのだが…
なんかだんだん自信がなくなってきた…
たしか映画の前に誰かしら男の人の解説もあり、何かしら話してたんだけど内容はまったく思い出せない…ホントにそんな解説があったかどうかもわからない…もう自分が家族旅行に行ったのかどうかもわからない…

 

そんなワケでこの謎のトラウマ映画が何という作品なのか?
もしわかる方がおられたらぜひ教えて下さい!
(おわり)

 

※追記(2022年5月26日)
その後、読んで下さった方が情報を下さり、私のこの謎のトラウマ映画は『呪われた毒々魚 人類滅亡の危機』というタイトルでDVD発売されている作品だと判明しました!

 

 

買って観てみたらまさにそう!この作品でした!
やりたい邦題がつけられていますが、ジャケットにもさりげに『BARACUDA バラクーダ』と書いてある!
四半世紀を超えて観るドンヨリバッドエンドにスッキリ!
情報を提供してくださったヤジベエさん、Maさん、本当にありがとうございました!

 

トラウマ映画館 (集英社文庫)
集英社
この中で紹介されている映画、どれも間違いのない名作トラウマ映画です!
ウルトラプライス版 呪われた毒々魚~人類滅亡の危機~《数量限定版》 DVD
映像文化社
アメリカンニューシネマみたいな、あの衝撃のバッドエンドを皆さまもぜひ!