シン・ゴジラの罪 (4DX版の鑑賞レポート ネタバレあり)

8月が終わっても快進撃は終わらない「シン・ゴジラ」を4DXでリピートしてきた。
この映画に関してはもうすでに多くの方々が語っているし、誰からも頼まれてないが、嫌われてるのに元気いっぱいシャシャリ出てくるゴキブリのようなタフなハートで、全力でレポートしてみたいと思う。

 

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公開初日にすでに通常版を鑑賞済み。
その日はワケあって完全徹夜明けのフラフラ状態。
そのため、相当気合い入れて観ないと「寝・ゴジラ」になってしまうかも…と不安だった。
しかしいざ映画が始まるとそんなチンケな不安はものの数分であの神の化身の巨大な尻尾にハジき飛ばされた。
前置きいっさい無し、フルパワーで最初からガンガン進撃するストーリー・映像に、気分シャッキリお目目パッチリ!まったく寝落ちなどせず、凄まじいワクワク興奮状態で2時間弱スクリーンを見つめていられた。眠気もこっぱみじんの面白さ。そりゃみなさん同様リピートはマスト!

 

観に行ったのは「109シネマズ広島」という映画館。

 

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ここに先日、前から1度体験してみたかった、あの4DXの設備がついに完成。そのオープニング作品が「シン・ゴジラ」と「ワンピース」なのである。
海が出てくるジャンプのマンガだと私は海人ゴンズイ世代なので「ワンピース」は失礼ながらよくわからない。
そこで4DXバージンは「シン・ゴジラ」の2回目に捧げたというワケだ。

 

ところで84年版のゴジラを当時映画館で観ている世代の大人な私には「4DXって途中でウンチシッコに行ってもいいの~?」というとても大人とは思えない懸念事項があった。
前にもちょっと書かせて頂いたが、私は昔やっていたシベリア抑留所みたいな寒さ厳しさの冷凍庫内での労働のため膀胱の機能がぷちクラッシュ。映画の入場料金は大人だがシッコの近さは子供。
鑑賞の際はたいてい1度は泣く泣く途中でシッコ退席することになる。
その上この日は映画館に来る前に、二郎ラーメン大盛りニンニク増し増しを完食してきたのでおなかグルグル、ウンチも近い。
劇場スタッフの方がキレイなお姉さんばっかりだったので上記の糞尿クエスチョンを動物園のわんぱくゴリラみたいに投げつけるわけにもいかず、不安とウンチシッコを抱えたまま上映時間をむかえてしまう。

 

4DXといえば激しく揺れたり風が吹いたり遊園地のアトラクションばりの様々な効果が起こると聞く。

 

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そんな中、席を降りてウンチに行くことはできるのだろうか?「え?動くの?」とか言われないだろうか?
もしかすると座った瞬間にジェットコースターみたいにベルト的なものでガッチリ体をロックされてしまうかもしれない!
もしそうならもう最後の手段だ!降りるに降りれず下ろすしかない!
なるべくゴジラの熱線発射に合わせてこっちも発射すべし。総理!撃ちますよ?いいですねっ!?他のお客さんたちには4DXのニオイ効果ということで全力でシラを切るべし!…と腹中に茶色いケツ意を固めつつ最低王は怪獣王の待つ場内へ。

 

入り口前にロッカーがあり、スタッフのお兄さんに貴重品はそこに入れるように言われる。
カバンは、映画のエロシーン鑑賞中に勃起を隠す人の要領できちんとヒザ上に置くなら持ち込み大丈夫。ドリンクも可。
心配してた途中退席も、他のお客様に迷惑がかからぬよう、周りすべてをヤクザと半グレに囲まれて「アウトレイジ」観てる時に席を立つ慎重さで普通にご自由にどうぞとのこと。良かった…(ただし激しく席が動いてる時は控えて下さいとのこと。ちなみに体を固定するベルトなどもありません)

 

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場内は満席。時間が19時からだったせいかチビッ子はおらず。
4DX上映は連日、予約完売状態が続いているもよう。前日に予約しておいて正解であった。
料金は大人2、800円。
これが3Dだとさらにちょっと高くなる。こちらの劇場では「シン・ゴジラ」は4DX2Dのみの上映。3Dで客席にドド~ンと景気よく飛び出すゴジラの尻尾!破壊光線!石原さとみちゃんのエロスな唇!も観てみたかった気がする。

 

やがて客電が消え、まずは4DX上映の説明ムービーが流れる。
するとこの時にもう!
映像に合わせてグイングインと動く座席!
顔にバシュッ!とかかる水しぶき!
どよめく場内!あちこちで上がる悲鳴と歓声!
本当にまるで遊園地だ!
周りを見渡すとみなさんニッコニコ!あっという間に大人が全員でっかいチビッ子状態に。

 

ところで私は裸眼だと、どんなブサイクも美人に、ビオランテも沢口靖子に見えるぐらい目が悪い。なので映画鑑賞の時はいつもメガネを装備。
さっきのブッカケで濡れたメガネをふいていると、隣の席に座ってらした家族連れのしぶい初老のオジサマも私と同じくメガネをフキフキしている。目が合い、思わず「エヘヘ…」とお互い笑う。
オジサマ「けっこう濡れてしまいましたねえ。」と紳士なAV男優のようなことをおっしゃっていた。

 

そしてついに本編のスタート。
冒頭のボートのゆらゆら漂流シーンで座席もゆらゆら。潮風のイメージらしく風もビュービューと吹いてくる。
そして波しぶきに合わせて顔にバシュッ!と水しぶき!
このウルトラ水流は手元のスイッチでONとOFFの切り替え可能。「顔にかけちゃイヤ…」というイカす恥じらい乙女の方も安心だ。

 

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非常事態に政治家のみなさんがワイワイ早口会議をするシーンでは、カメラの水平移動に合わせて座席もゆるやか~にムーブ。
ところでこのシーン。「東京に上陸した謎の怪獣の名前を何にするか?」をめぐって政治家たちが爆笑必至の論争を繰り広げる、上野顕太郎さんの傑作短編マンガ「怪獣の夜」を何となく思い出した。興味のある方には一読を激しくオススメ。

 

それにしても謎の巨大生物がボートなんかをガシャガシャ押し上げながら怒濤の川のぼりをする凄まじいビジュアルと、現れたあの姿には本当にたまげた。
「ん?このキモかわいくない子は…なあに?」とポカーン。
何か庵野さんらしいサプライズを用意しているに違いないとは思っていたが、それでもビックリ。まさか「変身」とは…予備知識なしで観てまんまと驚けて本当に良かった。

 

そしてそのキモインパクト大なビチャビチャヨチヨチ第2形態から、内面で怒りのマグマがたぎるような恐るべき第4形態に立派にトランスフォームしたゴジラの、首都進入を阻止する「タバ作戦」
かっちょいい自衛隊ヘリの、全然効かん銃発射シーンでは、シートの耳元の二つの穴からプシュプシュッ!とエアーが吹き出し、なんかカワイイ演出に笑いも吹き出す!

 

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次の、あんまり効かん銃発射シーンでは「マッサージチェアー・たたき・中」のような、ほど良い刺激が背中をドコドコドコッと連打!ゴジラには効かなかったが座りっぱなしで疲れた体には良く効いた。
そして続いて戦車軍団がギュルギュル激走するシーンでは、足元に何やらシュぺぺぺ~と謎の刺激が!
最初「風かな?」と思ったのだが、どうやら足元のチューブがプルプルと動いて足に当たる仕組みらしい。

 

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4DXの演出をなさった方の
「キャタピラ軍団の地鳴りがするようなのこのド迫力を、何としても、何かしら体感させてえぜ!」
という熱い思いが若干スパークし過ぎた強引演出が足元を優しくシュペペペ~する!イカす!

 

そして何と言ってもこの映画の白眉、ゴジラの最初の熱線放射である。
庵野監督が放ったこの恐るべき使徒のファーストインパクトのシーンは本当に何度観ても凄い。
荘厳な音楽、謎の紫色の発光、それを見つめる人々、変形していく口…未曾有のカタストロフィの予感に戦慄が走る。
そして想像をはるかに超える超破壊。
集束したエネルギーの力強さを感じさせる細く真っ直ぐな熱線。
ブッタ切れ、溶け、砕け散る高層ビル群、燃え上がる街。
スクリーンの中の壮絶な地獄風景に、場内みんな息を飲んでいるのがわかる。神の残酷かつ崇高な審判を受けたように体が震える。
そしてダメ押しにビックリまさかの背ビレビーム!完全にやられた!東京も私も!

 

ちなみにこのシーンではゴジラの熱線に合わせてライトがビカビカッと激しくフラッシュ!座席はガクガク!スクリーン前方からモクモクとスモーク!
まるで本当に災害のど真ん中にいるような臨場感!途中、女の子のカワイイ悲鳴が聞こえ、ちょっと心配、さりげに見たら、注目が集まって照れた笑顔がとびっきりステキなジェットジャガー似の女性だったので「きっと大丈夫」と失礼なことを思った。

 

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そして、気の合うはぐれ者メイトたちと徹夜で文化祭の準備してる時のようなワクワク感あふれる「ヤシオリ作戦」
無人在来線爆弾をぶちかまされて倒れ込むゴジラ、巨体で倒壊するビル、吹き上がる粉塵、舞い落ちる破片…に合わせて場内にはキラキラ綺麗な雪が舞い落ちる。あちこちで思わず手をのばす人たち。
備わった機能をフルに駆使しようとする、最後までサービスたっぷりな4DXの演出に拍手!

 

アトラクション効果は激しい時もありつつ鑑賞の邪魔にならぬよう適度に調整されており、スクリーンにしっかり集中可能。
物語はきちんと追えるので初見が4DXでも問題なしだと思う。
興味のある近隣の方は「109シネマズ広島」へ行ってみてはいかがだろうか?

 

しかし「シン・ゴジラ」、本当に面白い映画だった。ウンチシッコも引っ込む面白さだった。
2014年のハリウッド版ゴジラを観た時「日本でこの後ゴジラを作るのはもう難しいかも」とか書いた自分を心底恥じた。
予算はハリウッド版の10分の1ぐらいらしいが、あっちの10倍以上面白かった。

 

個人的には塚本晋也監督の出番が思ったより多く、しかもけっこう重要な役だったのがうれしかった。
他のスーツ男子たちにも萌えた。「政治家がホントにこんな感じだったら抱かれてもいいのにな…」と思った。
ネイティブな英単語を会話の途中でチョイチョイぶっ込んでくる難しそうな役を演じた石原さとみさんは、AEONで一生懸命練習してきた感じで良かった。
「この世で一番カワイイ人。それは石原さとみ」と思った。
ずっとクールで無表情だった尾頭ヒロミ(市川実日子さん)が最後でとびっきりの笑顔を見せる綾波メソッドにもまんまと萌えて悶絶。
「この世で一番カワイイ人。それは市川実日子」と思った。

 

ネットで、居酒屋で、様々な場所でたくさんの人がこの作品について熱く語り、作品に散りばめられた細かすぎるネタを「気づいたのはきっと俺だけ!」とワクワク指摘し、アイディアあふれる素晴らしい俺ジナルイラストを次々と公開。
8月をさらに熱くさせたこの「シン・ゴジラ祭り」に、旧エヴァ劇場版の時の熱狂の夏を思い出した。

 

島本和彦先生を「庵野、俺より面白いものを作るんじゃねえ!」と嘆かせ、多くのリピーターを産み、みんなの財布の中身を大破壊。
それでもまた観に行かずにはおれない!うれしいカツアゲされっぱなし状態。
この面白さはもう罪。
まさにSin(罪)・ゴジラだった。
(おわり)