初めての原付

生まれて初めて原付を買った。
原付といっても、アクセルを回すだけでバビーン!と走ってくれるスクーターではない。
「スズキ GS50」 ↓

 

スズキ GS50

 

普通二輪免許が必要な一般的なオートバイと同じように、クラッチ操作のある原付である。
中古だけど、ピカピカで可愛かった。
もろもろの費用をすべて含めて23万。
なけなしの貯金はスッカラカン。

 

なぜ無理して買ったか?
理由は2つ。
まずは「ストレス解消」のため。
職場のストレスが、とにかくヒドイ。
オンボロ自転車でキコキコと通勤中
「ああ…突然UFOが現れて、ワシをどこかへさらってくれないかな…」
とか思ってしまうレベル。
そのため、ストレス解消をかねて、通勤にバイクを使ってみようと思ったのである。

 

次に「普通2輪免許取得」の際の練習のため。
年明けから、教習所に通う。
しかし、何をやっても飲み込みが悪く、反芻につぐ反芻が必要な、牛さんのような私のこと。
いきなりバイクに乗らされて、クラッチがどーのこーの言われても
「こんなのできないよ、モ~~!」
と弱音を吐くに決まっている。
なので、このGS50で、クラッチ操作などに慣れておこうと思ったのである。

 

通勤に使う前に、まずは近場で練習。
ぜんぜん運転できない。
クラッチがうまくつなげない。
ギアを変えるたびに、車体は激しくガクガクと揺れ動き、暴れ馬に翻弄される新米カウボーイみたいになっている。
発進と停止もスムーズにできない。
ウインカーも出し忘れる。
交通ルールの理解もなんか怪しい。
「通行止め」の標識を見ながら「えっと…これは何の標識だったっけ…?」と小首をかしげつつ突入を敢行しそうになったりしている。
ちょっと大きい道路に出ると、この世のすべてのドライバーさんが、運転のヘタすぎる私に対して、怒りと憎悪を感じている気がする。

 

怖い。
全然楽しくない。
「仕事に行くのが怖い」というストレスに、「バイクの運転が怖い」という新たなストレスもプラス。

 

先日、渋滞の中でエンストして、クラクション鳴らされまくった時は、パニックで頭の中が真っ白に。
「ああ…突然UFOが現れて、ワシをどこかへさらってくれないかな…」
と思った。

 

原付の免許は筆記だけで取得できた。
いいのだろうか?あの免許でこんなバイク運転して。
よくない。
このままでは、いつか誰かが死ぬ。
通勤には、まだ使えない。

 

そのため、交通量の少ない夜間に少しづつ練習することにした。
自転車でキコキコと出勤。
仕事が終るのがだいたい深夜1時。
自転車でヘロヘロと帰宅。
そしてヘルメットをかぶり、交通量も少なく、信号も開放となった夜の街へバイクでGO。
自宅から会社までのルートを往復してみるという練習を開始。
退社後にまた、人知れずコッソリ出勤&コッソリ退社という変な従業員に。

 

しかし、この練習のおかげで、通勤ルートだけは、何とか走れるようになり、憧れだった「バイク通勤」を開始した。

 

しかし、問題がある。
運転後の髪型に関してである。
私は天然パーマ。
グルグルとウネッた髪が、うすらみっともなくトグロを巻いている。
若い頃、「メドゥーサのスエ」というありがたくないアダ名を頂戴したこともある、せつない過去の持ち主。
こういう人間の髪質は、フニャフニャとして、コシがないことが多い。
バイク通勤後、ヘルメットをはずすと、圧力と湿気に完全敗北した髪が、ピッチリと頭皮にプレスされ ↓

 

その髪型、流行っとんの?

 

…という、300年後の未来都市で流行ってそうなアヴァンギャルドな髪型になってしまい、すれ違う社内の人が、みんな微妙な表情に。

 

しかし、これはチャンスかもしれない。
ビジネスチャンス。

 

世の中、エレカシの宮本浩次さんみたいな、黒々とした力強い直毛の方ばかりではない。
私のような、フニャフニャテンパーズもたくさんいらっしゃるはず。
そして、そういう髪質のライダーの方は、運転後に計らずも生み出してしまった前衛芸術のような自分の髪型に、嘆き、もがき、日々苦しんでいるに違いない。
髪型が変わらないヘルメットとか、アイテムとかを考えれば、需要があるはず。
ビジネスチャンスである。
しばし、考えてみよう。
同士を救う革新的なアイディアは………………
私のようなフニャフニャテンパーズが、晴れやかにヘルメットをはずせるようになるような…………
何か…こう…いい感じの…アイディアは………………
アイディアは……………
……………
まったく浮かばん!
なので、明日からも ↓

 

その髪型、突っ込むべきなの?

 

やっぱりちょっと、自転車通勤に戻そう!

(おわり)