原付のススメ

「自分は運動神経がムチャクチャにぶいっ!」という、呪いじみた根深いコンプレックスを持っており、スポーツ全般に対して強烈な恐れや苦手意識があり、体育祭や球技大会の同義語は地獄。それらが迫り来るたび気分ドンヨリ。
地獄前夜には
「出よダゴン!呼べよクトゥルー!明日のポートボール大会をブッ壊せ!」
と、まごころのこもった祈りを太古の邪神たちに捧げる。
そんな自分には、車やバイクの運転なんて絶対無理!怖い!免許ゲットなんてありえない!
…というタイプの方が、ひょっとすると世の中にはいらっしゃるかもしれない。
私だ。

 

私もずっと、上記のようなコンプレックスを抱え、乗り物系の免許をゲットすることなく、雨の日も風の日も飛び出たイボ痔がなかなか戻ってくれない日も、徒歩&チャリで必死でシャカシャカ生きてきた。

 

そんな私がちょっと思うところあって、ひと昔前、原付と車の免許を取得することとなった。
そこで一つ。余計なお世話なご提案がある。
それは

「乗り物の運転、超怖いコンプレックス」のある方も、「原付の免許」をいっちょゲットしてみてはどうであろうか?

…というものである。

 

なぜ、このような「原付のススメ」をさせて頂くのか?
それは前にも書かせて頂いたが「原付、超きもちイイ!」からである。

 

特に、身を切り刻む寒さがやわらぎ、ジンワリと暖かくなってくるこの季節。
春は原付の季節。
桜舞う青い空の下、春の息吹を体じゅうに感じてバビビィ~ン!と走れば!
ヘルメットの中のあなたのお顔に満面の笑みが花のように広がるのを、おさえることはできないだろう。
原付、超きもちイイ!

 

そして、色々ありすぎる日常の中で、いつの間にか胸の中に巣くってしまったトゲトゲ毒寄生虫のような心むしばむストレスも、バビビィ~ン!と原付で走ってる時だけは!
風に吹かれて後ろに後ろに置き去りに。
束の間忘れることができるかもしれない。
バビビィ~ン!はストレス解消の調べ。原付、超きもちイイ!

 

それに原付は免許がまあまあ取得しやすい。
受験料は7千円ちょい。
「TENGA繰り返しタイプ」をネットで注文した時ぐらいの値段。
テストは学科のみで、実技なし。(合格者のみ講習あり)受かればその日に免許発行。
朝、パートに出かけたお母さんが昼過ぎに帰ってきて、届いた「TENGA」を「何かしら?」と開けてしまうまでぐらいの時間で取得可能。

 

ちなみに「原付の試験なんて超簡単。何も勉強しなくても受かる」とかいう話を聞いたことがあるかもしれない。
でもありゃウソだと思う。
いくらマークシートでも無勉強で受かるのは、マグナムに全弾込めてロシアンルーレットしても、まさかの不発で生き残るような強運の権化だけ。
私が受けた時は、50人ぐらいいて10人ぐらい落ちていた。
しかも落ちた人には、その場で退場の宣告!
みんながいる前で荷物をまとめて出て行かなければならないのである!
ガーン!もし落ちたのが自分1人だったりしたら…!

20160404原付試験会場にて
こりゃ恐ろしい!恥ずカッコ悪い!ちゃんと勉強して行こう!
受験の日を、たとえば「3週間後」とか自分で設定し、好きな問題集を一冊買い、その日に向けて毎日コツコツ暗記していくとよいと思う。

 

そしてもうひとつ、原付のおすすめポイント。
それは原付が「フェラーリとかと違って、買えんこともない」ということである。
値段はピンキリだが、5万~10万とかでけっこうイカすのもある。
東京に住んでた頃の私のように、貧困の渦に巻き込まれ、どうあがいても抜け出せずに苦しんでいる方にしてみれば、きっと、それでも高いと思う。
しかし原付ゲット用に少しづつでも貯めれば、カウンタックとかと違っていつかは手が届くかもしれない。(「50円玉以下貯金」なんてオススメである)

 

子供の頃、家になぜか玄関がなく(なんでだよ)、猫あがり放題で、サザエさんみたいにホントに夕飯の魚ぬすまれてた昭和の貧乏人の考え方だが、ローンとかより貯めて買ったほうが爆発的な喜びがあるし、大切にすると思う。絶対。
前にも書かせて頂いたが、私の原付は「SUZUKI GS50」というマニュアル車。
23万。コツコツ貯めて一括で買った。
時々、ご自身の愛車を色んな角度から撮りまくって、写真を貼りまくってるブログをお見かけする。
しかしアレはご本人がウレシイだけで、見るほうはまあまあ退屈なので、写真を貼るのは控えさせて頂くが、3年前に買った私の愛車は、まだ宝石みたいにピカピカである。大切にしているからだ。

 

余談だが、以前「ドリンクホルダーなどを加工して、俺ジナルバッグサポートを作った」と書かせて頂いた。
しかしそんな面倒なことをしなくても、「U字ロック」に「ミノウラのアクセサリーホルダー」をとりつけるだけで、より簡単に、かつ丈夫なバッグサポートを作ることができた。
作り方などの詳細はここでは省かせて頂くが、こんな感じである。

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バッグをとりつけるとこう。

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しかし、初めて外で原付にまたがり、すごいスピードの車がワンワン猛獣のように駆けめぐるアスファルトジャングルの中へ飛び込もうとする時、きっと恐怖を感じると思う。
しかし、私はこう思うのだ。

「別に飛び込まなくていいじゃない。運転が怖くない人たちみたいに、縦横無尽に街を走れなくてもいいじゃない。もっと言うなら、交通手段として使えなくてもいいじゃない!」

…と。
自宅の近所で、安全に走れる時間帯、コースを見つけ、そこをグルグル走る。
未体験の快感に突き動かされるまま。好きなだけ。何度でも。
それだけでもいいと思う。
交通手段として使えなくてもいい。
「ストレス解消お助けメカ」として大切に使うだけでいい。
それだけで充分、投資した価値はあると思う。

 

現に私は、主にそのように使っているが大満足である。(もちろん運転うまくなりたいが)
だいたい私は、原付に乗って3年になるが、未だに右折が怖い。
知らない道の複雑な交差点などは怖くて怖くて、胸はドキドキ頭はパニック。
結局怖くて曲がれずバビビィ~ン!と直進。どっかでいったん止めて深呼吸。降りてウンショウンショ押して戻り、左折左折の繰り返しでやっと目的地へ。
自転車で10分ぐらいの所へ、手間ヒマかけて30分ぐらいかかったりしている。
そんな人間でも「思いきって原付を買って本当に良かった!」と心底思う。
原付、超きもちイイ!
走る!ワシは!明日も!すごい近所をお巡りさんよりグルグルと!
良かったらアナタも!
バビビィ~ン!
(おわり)