『10分カラオケ』のススメ

最近、毎日、家でカラオケをしている。
時間は10分間。
歯みがきや入浴と同じように、この「10分カラオケ」を生活のルーチンに組み込んでいる。

 

私は昔から歌が凄まじくヘタだ。
その音痴さたるや、キモチいい天気の日、公園を歩きながら歌を口ずさむと、小鳥たちがギョピー!と鳴いて木からバサバサ飛び立つレベル。
超毒魔獣の地獄怪音波みたいな歌声の持ち主だ。

 

カラオケには生まれて2、3回ぐらいしか行ったことがない。飲み会の流れ的に逃げれなかったのだ。
たいていは歌わず、拍手とか手拍子でごまかす。
しかし1度、どうしても歌うようしつこくマイクを押し付けられ、仕方ないので、場にふさわしいアガる名曲、鈴木亜美ちゃんもカバーしたTMNの「BE TOGETHER」を歌ったら、みんなジャイアンリサイタルに必死で耐えるのび太たちみたいな顔になっていた。ボエ~~!

ジャイアン・ソロ・リサイタル

 

そんな感じで昔から「歌ヘタ」がコンプレックスだった。
「しかたない…ワシは顔はええが、歌はヘタなんじゃ…」
と、害虫にやられたブツブツ腐れトマトみたいな顔で自分に言い聞かせつつも、やはり未練タップリ。
歌ウマ芸人的な番組を見るたび
「ああ、こんな風に歌えたらきっとキモチいいだろうなあ…面白い上に歌もウマくていいなあ…でも多芸は無芸。全員は残らない。」
と、あこがれ&嫉妬で人としてねじ曲がった想いを抱くことに。

 

しかしねじ曲がってばかりはいられない。
このたび一念発起。
気にはなるが長年放置してたイボ痔みたいな、この「歌ヘタコンプレックス」の克服を決意。カラオケを始めたというワケである。

 

しかし、私が住んでいるのは古ぼろい市営住宅。壁も床もすこぶる薄い。
その薄さたるや、どこか隣接する部屋の
「今度は何号室にする~?」
という、イマジネーション刺激して微妙な胸のざわめき呼び起こすオバハンの会話とかが聞こえてしまうレベル。

 

こんな壁も床も物言うような所でカラオケをボエ~~!とぶちかましたらもう大変!
怒り狂った住民が「あのうるせえキチガイを黙らせろ!」と手にバットや出刃包丁を持ってデビルマンの最終巻みたいに玄関に押し寄せ、もう一生外には出られない。
「ブログやってる広島の騒音おじさん」として文春にも報道され、変なアクセスアップ&身バレも必至。

 

そこで歌声を抑えつつ練習をするべく、次のアイテムを使用することにした。

 

ツインバードさんの防水CDプレーヤーは昔から使っており、今ので3代目ぐらい。私はいつも風呂で音楽を聞くので、生活に欠かせない必須アイテムだ。
これには防水のほかにもうひとつ「ボーカルカット」という便利機能がある。
ボタンをポチッと押せばボーカル音だけ消えた状態で再生されるというものだ。
つまり「どんなCDもボタン一つでカラオケに早変わり」というミラクルマシンなのである。(CDによって効果の差アリ。うっすらとボーカルが聞こえる場合も)

 

ミュートマイクは「カラオケ JOYSOUND」が入れてあるゲーム機やパソコンにつなげて使うもの。
試してみると、正直ちょっと息苦しい。
それと、自分の声は頭部に響いてハッキリ聞こえるため、本当に音漏れが防げているか、まったくわからない。
確認すべく、ミュートマイクを父に渡して話してもらうと
「どうね~?聞こえるね~?」
という父の声が、メーカーさんには大変申し訳ないが、まあまあハッキリ聞こえた。
しかし力強くギュッと、ピッタリ口に押し当てると、明らかに声が小さくなる。ちょっと歌いにくいがそれで良しだ。ないよりはずっといい。防音のシッカリした家なら問題ないかもしれない。
説明書にも書いてある通り、完全ミュートはそりゃ無理である。そんなのはもうNASAとかの仕事である。
さらなる防音を目指し試行錯誤を重ねた結果、最終的にはもう普通に毛布をかぶることにした。

 

毎日カラオケボックスには行けない。
だから部屋で一人カラオケ。
忙しい毎日の中で、日課として根気強く練習を続けるため時間は短く10分。
その短時間のために毎回課金するのは厳しいので「カラオケ JOYSOUND」は普段は使わない。
よってミュートマイクはゲーム機などにつなげず、防音&シンガー気分盛り上げアイテムとして使用。
ドア、窓、カーテンを閉め、毛布を頭からスッポリかぶり、さらなる防音。
そしてツインバードさんのCDプレイヤーで好きな歌をかけ、ボーカルカットボタンをオン!
さあ歌おう!Let’s sing a song! ↓

歌うザコ敵

ロールプレイングゲーム序盤のザコ敵みたいになってるが知らん。カッコなんてどうでもよろしい。
まずはボーカルカットでカラオケにして歌う。次に通常再生で、お手本を聞きながらマネして歌う。
こうするとだいたい10分ぐらい時間がたつ。「10分カラオケ」である。

 

これを始めて気づいたのは「歌うのって超キモチいい!」という当たり前のことである。
別に誰も見てない。聞いてない。ヘタでかまわない。笑う人はいない。
歌い終わるとなんか!気分が!パアァ~ッと晴れてさわやか!
高揚感に包まれるんである。
ストレスの多い毎日のメンタルケアに「10分カラオケ」はいかがだろうか?
オススメです。
超キモチいい!
しかし私の場合、いい歳こいて歌ってるのが「デリケートに好きして」とか「ときめきトゥナイト」なので、客観的に見ると超キモチ悪いのかもしれない!知らん!ボエ~~!
(おわり)