先日「横川シネマお笑いライブ」に行ってきた。
ここ広島で活動なさっているお笑い芸人さんたちを中心に、月に1度、たいてい第4金曜日に行われているおもしろイベントだ。
場所はもちろん名の通り、横川シネマである。さすが広島サブカル野郎たちのオアシス。地元で産声を上げ、たくましく育ちつつある愛すべきわんぱく坊主のようなこのイベントのため、金曜の夜のゴールデンタイムにドドーン!と景気よく劇場を貸し出すとは!何て懐が深い映画館なのだろう。
ちなみにこの日、私には心配なことがあった。
市内に新しくできた「LECT」という、超大型巨人が横になれるぐらいでっかい商業施設のオープンの日だったのである。
その上、11ものスクリーンを有する映画館バルト11では、爆笑問題さんが所属する事務所「タイタン」のお笑いライブの中継があったらしい。
「このダブル・アタック・オン・タイタンに客足を取られこっちはガラガラなんじゃ…?今日のお客さんはベッピンさんばかり!右から順にベッピンさん、ベッピンさん、一つとばしてベッピンさん…の基本のツカミを完全に封じてしまうぐらいガラガラなんじゃ…?」
と心配していたのである。
いらん心配だった。
客席は七割方うまっていた。
若い子から私のようなオッサン、そしてご高齢のお父さんお母さんまで…とても幅広い客層のお客さんがつめかけていた。みなさん右から順にベッピンさんばかり。開演を楽しみに待つワクワクで場内がざわざわ。明るいカイジみたいになっていた。
私は去年、横川駅周辺に貼られていたステキに楽しいポスターを見てこのライブを知り、都合がつく時は観に行くようになった。
この3ヵ月間は連続で通えているのだが、安定して客足が増えていると思う。
この日のトップバッターは兄弟漫才コンビのブーゲンビリア。
独特のゆるゆるキャラのお兄さんのボケに、弟さんがするどくツッコんでいくというスタイル。
兄の亮介さんが「ブーゲンビリアだーよー」のあいさつと共に、グッと握った手を花が咲くようにパッと開くというツカミのギャグをいつも通り披露。
「なかなか浸透しないね。お客さん全然一緒にやってくれないねぇ」と弟の昌也さんもいつも通りツッコみ、場内もいつも通りドッと沸く。
たしかに「ブーゲンビリアだーよー」を一緒にやるお客さんはまだ少ない。見たところ三分咲きぐらいか。
しかしネタ自体はドッカンドッカン受けており、いつか客席が「ブーゲンビリアだーよー」で満開になる日も来るに違いない。
次は全力投球亭二安打さん。
岩国から来られたピン芸人さんだ。
普段は介護施設で勤務なさっているとのこと。
「小さな頃から小さくて、高2で中2と呼ばれたよ」
のカッチョいい決めゼリフの通り、少年のような小柄ボディー&Kawaii声の持ち主。職場でご高齢の皆さんに愛されている姿が目に浮かぶようだ。
ボケて自らツッコみ、そのギャグの飛距離に応じて「ハイ!ショートゴロ!」「ハイ!セカンドフライ!」など自虐的な審判を下していくスタイル。独特な間やたたずまいが妙にクセになる芸人さん。
この日のお客さん、最初のボケでルールに納得がいったようで、後はイイ感じに笑いのウェーブが起きていた。特に私の隣のお姉さんと前に座っていたお父さんはツボにハマりまくったみたいで手を叩いて身をよじって笑っていた。「ハイ!ホームラン!」
次に登場したのは中岡将司さんである。
フリップ芸、トーク、コントなどなど…多彩なネタを持つピン芸人さんだ。
昨年は単独ライブも開催。私も観に行ったのだが、客席は満員。立ち見の方に補助イスを出すほどの大盛況で、ネタもゲストもバラエティーに富んだ、お腹いっぱい大満足のライブであった。
このライブはDVDにもなっている。非常に高価なDVDだが、わずかであれば値下げにも応じてくださるようだ。興味のある方はツイッターなどで中岡さんに問い合わせてみるといいかもしれない。
また「ピン芸人中岡将司の一人会」というライブを毎週水曜・土曜の週2回も開催なさっているとのこと。(※追記 現在は下記の劇場の活動に移行)
このように非常にアグレッシブに活動しておられる広島のお笑い戦士だ。この日は必殺の武器であるフリップをガッツリと装備して登場。「偉人の名言」にツッコんだりイジリ倒したりするネタで見事に勝利。爆笑を勝ち取っておられた。
※追記
中岡さんが《お笑い劇場》をオープンされました。
場所は広島市内のド真ん中。クイックマッサージのような手頃な長さ、手頃なお値段で、お笑いライブをほぼ毎日観ることができます。疲れた心をもみほぐそう!
《広島お笑い劇場》
中四国唯一❗❗
ほぼほぼ毎日お笑いライブやってます❗❗場所:広島市中区紙屋町サンモールさんの、県民文化センター側の出入口を出てすぐ。
☆火曜~日曜 15時/17時/19時
☆入場料 500円 pic.twitter.com/zfUrP6Pn2D
— 中岡将司 (ナカオカ マサシ) (@0230_0230) 2018年5月2日
そしてブーゲンビリアの再登場。
お二人はこの「横川シネマお笑いライブ」が始まってから、すべての回に出演なさっているとのこと。頼もしい不動のレギュラーが銀行強盗ネタで客席の笑顔もまんまと強奪!
ちなみにブーゲンビリアは今年から事務所に所属したとのこと。公式ツイッターやYoutubeチャンネルなども開設された。ますますの飛躍が楽しみだ。
そして本日のトリはカドカイシュウさんである。
「横川シネマお笑いライブ」のヒーローと言っても過言ではない、バーボンマンという鉄板コンビで大活躍なさっていたが、先日、解散を発表。本日はピンでの出演。
魔王さまのキャラクターで登場し、空気を読まずにブシュッ!と切りつけてくる勇者にダメ出しをするというネタ。
攻撃音の絶妙なタイミングと魔王さまのリアクション&コメントにみんな爆笑!スライムやレベルアップなど、ゲーム好きは思わずニヤリな小ネタも満載!
そして魔王さまがマントを脱ぎすて、ついにその第二形態を現した時。まるで落雷と地割れが起こったように場内が揺れた。この日一番の笑いと拍手の瞬間だった。
お笑いライブを観に行くと「ああ、今日はこの人にお笑いの神様が降りてきてるのかも…」というような芸人さんが一組いるものだが、この日はカドさんだったと思う。
しかし!ガーン!8月に上京予定とのこと。カドさんのこのセンス抜群のお笑いが地元広島で見れる時間はあとわずかなのかもしれない。さみしいけれど、でも、ますますのご活躍を祈っております。でも上京取り消しも、バーボンマン再結成も全然アリだと思います!シン・バーボンマン、バーボンマン・リミックス、バーボンマン・CODA…
ちなみにこの日は芸人さんのネタの他に、横川シネマのスクリーンを利用して、映像作品の上映もあった。
カドさんチョイスの「お漏らし映画(泣ける映画のこと)」を観せてブーゲンビリアの兄・亮介さんが泣くかどうか?を検証するというモノ。
カドさんが「クリード チャンプを継ぐ男」がいかに泣ける名作であるかについて宇多丸さんばりの熱弁をふるった後に本編の上映。そこでカドさん、まさかの爆睡という展開に場内が笑いに包まれる。
編集やテロップなども凝っており、とても面白い動画に仕上がっていた。映画好きなので楽しかった。またこういう企画をやって欲しい。
動画と言えば「横川シネマお笑いライブ」はDVDにもなっている。
定点カメラによる撮影なので劇場で観ているような臨場感を味わうことができる。
今まで出演なさった方のほぼすべてを網羅したボリュームたっぷりの内容になっており、ファンの方はもちろん、このライブについて知りたいという方にもオススメだ。にぎやかでシンメトリーなデザインの楽しいジャケットも最高。ツイッターなどで問い合わせればまだゲット可能だと思う。興味のある方はぜひ!
ネタがすべて終わった後、出演した皆さま全員がステージに現れ、あいさつや告知などを行う。
私はこの時の雰囲気が大団円っぽくてとても好きだ。
そして拍手の中、幕が閉じていき楽しかったライブが終わる。
あっという間に感じる。長すぎないのもいいところ。
みんな満足そうにニコニコと席を立っていく。
横川という街には、思わずお腹が鳴るよなお食事処や飲み屋がたくさんある。
ライブが終わってもまだ21時。夜はまだこれから。ガッツリ飲む時間はタップリだ。
楽しい金曜の夜の始まりの景気づけにもピッタリではないだろうか?
「横川シネマお笑いライブ」にみなさんもぜひ!オススメです!
(おわり)