外国へ行く。
私ぐらいのハイパー・メディア・アフィリエイター・ブロガーになると秒速で3兆円ぐらい余裕で稼げるのでバカンスで外国へ行くのだ。
こちらがその「外国」である。
ずっと前からいつもすごく気になっていた。サーバー料金未納の督促メールぐらい気になっていた。
黒船級の巨大インパクトな店名。かわいい独特なたたずまい。アングラ演劇や地下イベントのチラシが貼られた外壁が醸し出す大好きなサブカル臭…お店の前を通るたびクンクン惹かれまくっていた。
しかし私は酒を飲まないし、中の様子がちょっとわからないし、対人恐怖症だし、人気ゲーム「みんなでゴルフ」をみんなでやったことが一度もないぐらい友だちがいないので一人ではちょっと入りづらいし、失礼ながらなんとなくホントの外国みたいに遠く感じていた。
しかしある日。お店のドアが開けっぱなしになっており、カウンターが空席状態なのをチラリ発見!「今だ!」と空き巣のすばやさでドアの隙間からササッと侵入!そんな中年不審者を店主様は「いらっしゃい」と普通に優しく迎えてくださったのであった。
店内には70年代~80年代の懐かしいミュージシャンたちのレコードや、雑誌、ポスターが飾られている。世代的にとても懐かしくストライク。
バンド、演劇、お笑い、謎のサブカルイベントなどのチラシも山盛り置いてあり手に取ってワクワク。
そんな中でゆっくりと色んなお酒や食事が楽しめるのだ。
食事といえばそう!看板に「カレー&バー」と書いてある通り、こちらに来たら何と言っても「カレー」である。
ここ「外国」のカレーは、ホルモンから出汁をとった「ガンダーラカレー」と言うそうな。
私も初めて入った日、もちろんこれを頼んだのだが…こりゃもうタマラン!
濃厚なうま味!ほどよいマイルドな辛味!ホルモンのコリコリ!キャベツのシャキシャキ!
これらがアグレッシブにミックス&スパーク!食した者の口中を、どこかにあるユートピア、愛の国ガンダーラへとキラリ変えるのだ!
真夜中、家でうかつに「ガンダーラカレー」のことを思い出しちゃったりしたらもう大変!
猪八戒もビックリの食欲の権化と化し、ダイエットの決心などこっぱみじん。居ても立っても居られず、気づけばガンダーラへ急ぐ西遊記ご一行の神妙な顔で、筋斗雲みたいに原付をバビーン!と「外国」まで走らせてしまうこと間違いなし!
そして「外国」にはもう一つ。大きな魅力があるのだ。
お店の奥に見える階段。それを昇った先にあるその場所。「ロマンチックホール」である。
初めて上がった時は驚いた。BARの上にこんな場所があるなんて!まるで秘密の隠し部屋。ホントにロマンチックだ。カッチョいい。
こちらはライブ、イベント、展示会、個人での練習などなど…多目的に使用可能なお座敷で、なんと無料レンタルという太っ腹。
そして個人的に「進撃の巨人」連載中の月刊別マガぐらいとても楽しみにしてる、毎月お店に置かれるスケジュール表をご覧あれ!
手造り手描き感&デザインセンスが素晴らしく素敵。
そしてここに書かれている通り、あふれ出る表現衝動を爆発させる場に飢えたサブカル狼のみなさまによって、ロマンチックホールでは夜な夜な色んな魅惑のイベントが繰り広げられているのだ。
ちなみに先日の文化の日には、ライブレポートを書かせて頂いたこともある、歌手Dodokoさん主催の朗読イベント「クレイジークレイジーワロタ」があった。
広島の女容堂ことDodokoさんの呼びかけに答え、個性あふれすぎるパフォーマーの皆さんが忠義に熱いお侍さんみたいに全国から大集合!客席もギュウギュウ詰めの大盛況!あふれ出る詩と酒にみんな今夜も酔って候!
Dodokoさんは面倒見のいいアネゴ肌のスナックのママっぷりで(歌手だけど)テキパキとイベントの進行を仕切りつつご自身もパフォーマンス。
前のライブで聞いた時、筋肉少女帯の「いくぢなし」級の衝撃だった詩の朗読劇を今夜も久保モリソンさん、AFTER EFFECTさんの演奏と共に披露。迫りくる情念の世界にそんじょそこらのプログレなど裸足で逃げ出すド迫力。
東京から参戦の守山ダダマさん。
絵と手紙(レター)を組み合わせた紙のギター…もとい「絵レ氣ギター」の演奏に合わせて詩を朗読するという俺ジナル極まりないスタイル。「絵レ氣ギター」には弦がなく撫でるので撫読(ぶどく)と言うそうな。
演奏技術が高すぎて私のような凡人にはまったく「絵レ氣」の音が聞こえない!まさに紙…もとい神レベル!
「いいフレーズを思いついたけど…ロッククライミング中!」などの身につまされる〈クリエイターあるある〉でみんなのハートも見事に愛撫、会場を笑顔で満開にしておられました。過激で孤高でジェントルでかっこいい!
イベントの告知に「包帯朗読など…」と書いてあったので「包帯朗読って何だろう…?」と思ってたら ↓
…とホントに包帯朗読だった女優のみゆみゆさん。天井桟敷の世界から抜け出て来たようなその出で立ちで寺山修司の詩を朗読!J.Aシーザーさんもビックリの凄まじい迫力&表現力!立ったまま眠る私の血も久方ぶりにざわめき「書を捨てて町へ出よう!」と思った。
シマシマコさんはギターの弾き語り。ちょいハスキーかつよく通る歌声が会場を優しく包む。
詩もすごく良くて(失礼ながらタイトルを失念してしまったのですが)1曲目の友だちのことを想う歌でシラフなのにホロリ。また聞きたいナー。ナヌ!ちゃぶ台ロックフェスに出演なさるのか!
2人組のOLD FLAGさんは岡山からカチコミ!仁義なき戦いオマージュがぶち見事すぎるド迫力の任侠朗読。血を吐くような魂の叫びが弾丸となり、文壇の腐れ外道どもを殺りまくる!
そしてトリはクモ!人肌蜘蛛!
久保モリソンさんの優しイイ声の朗読に、タケウチショーゴさんと3号さんのお二人が映画「鉄男」もビックリのウルさイイ音をギョワンギョワンとかぶせまくる!耳を裂く怪音の渦がやがて快音に。この蜘蛛が吐く魅惑の糸にからめとられたならもう抜け出せない!異形のカッコ良さ!
そして「ライブを観てひらめいたイメージを即興で絵にし、会場に貼っていく」というアヴァンギャルドなパフォーマンスを、イベントの間ずっとなさっていたA子さん。
何という凄いイマジネーションだろう!キュッキュ!という軽快に走るペンの音と共に次々に生み出されるA子さんの絵が会場をにぎやかに彩っていく。
ところでちなみにホールの片隅にあるこれ ↓
ロマンチックな雰囲気を醸し出すための、ただのオブジェだと思っていたのですが、この夜、Dodokoさんが ↓
…とラピュタみたいに伝声管として使っておられて「なるほど…」と地味に感動しました。
…とこのように「外国」では夜な夜な楽しい宴が行われている。興味のある方はFacebookなどをチェックしてみてはいかがでしょうか?
ガンダーラカレーを思いだした時、あの素敵なスケジュール表に心惹かれるイベントタイトルが躍った時、私もまた外国へ行く。
(おわり)
カレー&バー 外国
《住所》広島市西区横川町3-4-23
《電話番号》090-7595-0996
《営業時間》19:00すぎ~23:00ぐらい
《定休日》不定休
《Facebook》カレー&バー外国
この日の朗読イベント出演者の方のSNSなど(すみませんわかる方のみです&敬称略)
Dodoko @DodokoBP
久保モリソン @amorrisonk
AFTER EFFECT @after_effectttt
守山ダダマ @metalpoetry
3号 @SangouTomo
シマシマコ @she_is_fishdick
タケウチショーゴ @showgon45