昨今の熱いサウナブームの火付け役の一冊!
まんきつ先生の『湯遊ワンダーランド』を読んだ。
街の暖かなオアシス「サウナ」という場所で出会う、ちょっとヘンテコな人たち。
名作『夫のちんぽが入らない』をベストセラーランキングに入らせた名編集者なのに、なぜかロンパリ&よだれダラリという狂人ルックの迷編集者として登場する高石智一さんとの爆笑必至なマンガ家楽屋裏的やりとり。
すばらしい才能ゆえなのか微妙に奇矯なイケメン・カメラマンの弟さんとの同居生活。
これらの抜群な面白さに加えてなんと!
山本さほさんや、まずりんさん、沖田×華(おきた・ばっか)さんなどなど、今をときめく女性マンガ家の皆さんのパイパンフルヌードまで拝めてしまうという驚異の眼福サービス仕様!
そして最後には、幼き日から心の中に巣食い、無意識の内に自分を縛っていた「間違ったある価値観」を吐き捨てる、とても大切な心のデトックスも描かれる。
読後感は、ホントにサウナに行った後ばりにスッキリさわやか!
『アル中ワンダーランド』に続き、まんきつ先生のエッセイマンガの素晴らしさを満喫できる、新たなるワンダーランドである。
そして読後、私にも「ある場所」に設置されているサウナにドハマりしていた時期があったことを思い出した。
それはひと昔前。コロナよりも震災よりも前。まだ東京で一人暮らしをしていた頃。
場所は多摩市。小田急線の唐木田駅近く。
ここにある《アクアブルー多摩》という市営のプール施設の中に「ミストサウナ」なるものが設置されており、私はその魅力にどっぷりドハマりしていたのだ。
《アクアブルー多摩》の広い場内には「流れるプール」や「ジャグジープール」そして「ウォータースライダー」などのアトラクション的なものも設置されている。お堅いイメージの市営でありながらも遊園地プール+スーパー銭湯みたいな、はっちゃけた豪華さだ。
オッサンもワクワクを禁じ得ず、チビッ子たちに混じってウォータースライダーをヒャッホウすべりまくり、海パンを尻の間にグッとくいこませたい気持ちをグッとこらえ、シンプルな50メートルプールで泳ぎまくる。
そしてビッショビショの体のまま待望の「ミストサウナ」へ。
体を包む圧倒的な熱気。
ボタボタと滝のように汗を流しながらジッと耐えていると、ときどきミストがブシュ―!
傑作鬱SF映画『ミスト』ぐらい、周りが真っ白に包まれる。これがなんかおもしろ気持ちよくて、「ブシュ―!」を待ち望むようになるのだ。
熱気に極限まで耐え「もう限界!」ってとこでサウナを飛び出し、シャワーへ。
汗をサッと洗い流して、またプールにザブン!そして泳ぎまくってまたサウナ!ミスト、ブシュ―!
これをアホほどずっと繰り返していた。
市営の施設なので、料金もまあまあ安く、確か当時千円ぐらいで一日中いることができたのだ。
夕方、プールを後にして駅までの歩く道すがらかじるアイスの美味しさ。
ポカポカとほんのり火照る体に、そよそよと当たる風の気持ちよさ…
あのオアシスは今も変わらずあそこにまだあるのだろうか?
ふと思い立ちさっそく検索。
あった。
東京砂漠に蔓延する不景気やらコロナやら何やらで蜃気楼のようにもう消えてなくなってしまったかと思った。
ホームページによるとあの「ミストサウナ」も変わらずあるもよう。
《アクアブルー多摩》の大きなアピールポイントになる最高の設備でありながら、ご存じない方も多いような気がするので、ここんとこをもっと大きく、バーンと宣伝したほうがいいんじゃなかろうか?
バーン!
あります!《アクアブルー多摩》には!ミストサウナ!
しかしこうしてブログに書くことでお客さんが増えてしまい、混んで三密になったりしたら、あの頃の私と同じようにこのオアシスにハマっている人に「せっかくの穴場だったのに言いふらしやがって…」とうらまれてしまうかもしれない。
なのでやっぱり、知る人ぞ知る隠れ秘湯的な存在として絶対ナイショにしておこう!
ちなみに私は一度、蒸気と熱気の天国の中でフラフラになるまでジッとしてたら、どこかの学校の水泳部っぽいスク水女子の皆さんがキャラキャラと部屋いっぱいに入ってきて三密ならぬ賛蜜状態。何だかモジモジ困惑しつつ、本当に天国に来てしまったのかと思ったことがあります。
(おわり)
※追記
〈アクアブルー多摩〉のホームページによりますと、「プールは改修工事のため令和2年10月1日~令和3年3月31日まで、改修工事のため長期休館になります」とのこと。
ズコー!
でも改修工事じゃあしかたない。
より美しいオアシスとなって再び姿を現してくれる日を待とう!
その時にはできればコロナ禍もおさまってますよーに!