ありがとうサロンシネマ!

治らない!先延ばし癖が!
「10月16日にブログ上でマンガを公開する!」と宣言させて頂いた。
寸暇を惜しんで原稿に向かわなければならない状況なのに、先日も
「よい作品を描くには、偉大なる先輩方の作品から学ぶべし!」
と言い訳して、今まで何度も読みまくっている、楳図かずお先生の「洗礼」を頭から終わりまでキッチリ完読。
原稿は1ミリも進めず。

 

そんな感じでハラハラと切羽詰った状況ではあるが、この日はどうしても外せない用事があり、鏡の前で身だしなみを整えていた。
暴れ狂う竜巻天然パーマをドライヤーの熱風で押さえ込む。
鏡に映った自分を見て
「ウホッ!いい男!ワシもまだまだ捨てたもんじゃないわい!ガハハ!」
と悦に入っていると鼻毛にキラリ!シラガを発見! ↓

 

この世の終わりが来た時の顔

 

「もうダメだ!ワシ!終わった!」と楳図先生のマンガチックに絶望。
ひとしきり号泣して涙も枯れ果てたあと、レリゴー精神で健やかに立ち直り、予定通り外出。

 

20年ぐらい住んだ東京から、生まれ故郷の広島に戻ってきた時、不安に思うことがあった。
それは
「いい年こいて何の資格もとりえも無い、しかし精神的に問題イッパイ有りの自分みたいな役立たずの欠陥人間に、仕事が見つかるだろうか?」
…ということではなく
「東京と違って広島にはマニアックな作品を上映してくれる映画館はないだろうな…」
…ということであった。

 

しかし、杞憂だった。
あった。ちゃんと。そういう映画館が。
それが、この日も向かった「サロンシネマ」だ。

サロンシネマ

「キラーズ」
「アクト・オブ・キリング」
「そこのみにて光り輝く」
「ナンバーテンブルース」…
これらの、メジャー路線とはちょっと違う、通好み、もしくはマニア向けの作品をすべて、サロンシネマ様のおかげさまで観ることができた。

 

そしてこの日の上映は、地球上の全男子必須課目「ワイルドバンチ」である。
ビデオ、DVDで繰り返し何度も観たこの「キング・オブ・男の映画」を、スクリーンで体験できる日が来るとは!

 

イカすのは、かゆい所に手が届きまくってウヒョヒョ~と嬌声を上げたくなるような作品のラインナップだけではない。
レトロな外観や空調。シブいロビーの雰囲気。
そしてそこにドッサリ置かれた、サブカル情報満載のチラシ類のワクワクするよなアングラ感。
劇場内の天井いっぱいに描かれた美しく可愛らしい天使の絵。
懐かし感満点の上映前のアナウンス。
座布団や毛布が置いてあり、希望者は自由に使えるという暖かな配慮。
スタッフの皆様の親切で、心癒される接客…
すべてがステキであった。

 

ピカピカチカチカした最新設備完備で、テレビドラマやアニメの映画版とか、ディズニー映画とかばっか、売り上げのままにレリゴーレリゴーかけてるよーな映画館なんか知らん。
絶対にせん!ワシは!ドラ泣きなんか!
ソノ手の大手映画館よりもサロンシネマさんのほうが、私にはずっと居心地が良かった。
当然、休みの日には足しげく通うようになった。

 

そのサロンシネマさんが…
私の休日の居場所が…イヤな仕事で血だらけの心を何度も癒してくれたオアシスが…
建物の老朽化のため、なんとこの8月いっぱいで閉館! ↓

 

この世の終わりが来た時の顔

 

サロンシネマさんに来れるのは、スケジュール的に、どう考えても、この日が最後だった。
この愛しい映画館を、この目に、記憶に、焼きつけておきたかった。
先述した「外せない用事」とはこのことである。

 

それにしても、建物の老朽化ぐらい、なんとかハイテクでガキーン!と補強して、原爆ドームみたいに永遠に大切に保存できぬものか?
そのためにお金が必要なら、資金難で球団経営が危ぶまれたカープを救った時みたいに、市民の樽募金で何とかならぬものか?
ああ!昔どっかのエライ作家さんが言ったように、サヨナラだけが人生なのか?
ドラえもんの「おばあちゃんの思い出」の回を見てドラ泣きした時と同じぐらい号泣していると、そこにお知らせが。

 

現在、タカノ橋にあるサロンシネマは閉館。42年の歴史に幕を閉じる。
しかし館名はそのままに、八丁堀に移転。
9月20日にリニューアルオープン!とのこと。

 

そうか…そうだったのか…
この場所では無くなってしまう悲しみはもちろんある。
リニューアルにより、レトロな雰囲気など、変わってしまうところもあるかもしれない。
しかし、スタッフの方が同じならきっと!
映画マニアのハートをくすぐりまくる現在の経営方針を続けてくださるはず!

 

そうとなれば涙はもう流すべからず。
これからのサロンシネマさんを全力で応援するべし!
今後、ぜひ上映して欲しい作品は、DVDが1万円越えしていて高くて買えない「ヤコペッティの残酷大陸」!
それとDVDの発売などまったく期待できない80年代、伝説の残虐ドキュメンタリー「カランバ」!
それと、薄幸の美少女がひたすらヒドイ目に会う、丸尾末広先生原作の、インディーズ残酷アニメ「少女椿」!

 

………
何か私のような趣味のゆがんだ、恐怖奇形人間のリクエストに応えてばっかりいたら、リニューアルしたのに、すぐ潰れてしまうような気がする。
邪魔にならぬようヒッソリコッソリ応援しよう。
今までありがとうございます!サロンシネマ様。
そしてこれからもお世話になります。

サロンシネマ

ロビーへの階段。懐かしい雰囲気がイカす。

サロンシネマ

閉館のためラストピクチャーショー開催。
シブすぎるラインナップ。
この他には「恐怖奇形人間」「サンタ・サングレ」「太陽を盗んだ男」「昭和残侠伝 死んでもらいます」などの上映が。
信頼できる映画館。それがサロンシネマ。

サロンシネマ

天井に描かれた、美しい天使たちの絵。
ちなみに上映時は、天井いっぱいに星空のようにステキに電飾が灯ります。
(おわり)