2020年に観た映画 私のベスト10

 

この時期、恒例、みんなやってる『今年の映画ベスト10』を、私もまたやらせて頂きます。
私が住んでる広島では「最新作の上映なし。あるいは遅れて上映」という「地方あるある」があるため「今年、公開された映画」ではなく、「今年、観た映画」の個人的なベスト10となっております。
春夏秋冬8度もめぐる間、待って待って待ちわびて、ついに公開となった井筒和幸監督の最新作『無頼』!12月末の現在、広島では上映なし!地方あるあるがある!

 

 

10位 『犬鳴村』

 

『呪怨 ビデオ版』を観た時のようなみずみずしい清水ショックはさすがに感じずとも、すごくマジメに作られたホラーで見応えがあった。
『ミスミソウ』のあのイジメ美少女の、発狂&失禁からの……もすごくいい。
一件落着と思わせておいてからの……も定番だがすごくいい。
個人的にホラーはバッドエンドのほうが好きなので、やな感じの余韻があってすごく良かった。

 

 

 

9位 『アンダーウォーター』

 

深海に設置された石油資源採掘場で原因不明の事故が発生。
生き残りメンバーは脱出ポッドがある場所まで潜水服を着て海底をひたすら歩いていく。
しかし彼らがそこで見たものは…というハリウッドSFホラー版「のび太の海底ハイキング」のようなお話。
「もうちょっと、深海だけに息詰まるほど怖くても良かったかな?」とはちょっと思った。
でも気合の入ったCGの超巨大○○ゥ〇〇が観れただけで大満足。ラブクラフト好きな方は必見。あ!言っちゃった!伏せ字にした意味がなかった!
いつかモンスターバースに参戦してゴジラとタイマン!…も夢じゃないのかも?

 

 

 

8位 『許された子どもたち』

 

イジメの描写がステレオタイプなこと。
感情の爆発をミュージックビデオのようなかっこいい映像でなんとなく雰囲気で見せること。
この点は正直、ちょっと気になった。
しかし観てる間ずっと、主人公とその母親に対し「ざまあみろ」と思ったり、「かわいそう」と思ったり、感情が揺さぶられ引きずり回されっぱなしのパワフルな作品だった。

 

ところで途中に出てきて主人公をすっきりボコってくれるあのボクサー少女。
フォームがキレキレで、なんかむちゃくちゃカッチョよかったナ!

 

 

 

7位 『溢れる淫汁 いけいけ、タイガー』

 

以前、原稿を書かせて頂いたシネマ愛にまみれたZINE『シネ★マみれ』。
その発行人である切通理作さんが脚本を書かれたとのことで劇場へ。
しかしガーン!
下記のような「ある理由」で、ぜんぜん鑑賞に集中できず。↓

 

初体験!ピンク映画館《横川有楽座》潜入レポート! 触る!
以前、あるピンク映画館の宣伝に、お触り程度、少しだけタッチさせて頂いたことがある。広島きっての文化の街・横川で、1954年からの長きに渡り桃色の灯をともしてきた『横川銀映』だ。前を……

 

なのでDVDをゲットして再鑑賞。
ブーメランのように冒頭に戻ってくる脚本!
手造り感あふれる特撮!
合成全開モロ出しのバイクアクション!
荒ぶる!昂る!おっぱいぶるぶる!
大人の文化祭みたいな自由で楽しい作品だった。

 

それにしても数々のピンク映画に出演され、本作でもヒロイン佐倉絆たんのお相手を務められた小滝正大(こたき しょうた)さんは本当にすごい方だ。
俳優として大活躍!フルヌードの濡れ場もガンガンに演じ、そして絵心も満点!
本作劇中の美麗イラストは小滝画伯のものである。
なんという溢れる才能!
(小滝正大さんのツイッター @kota_show

 

 

 

6位 『音楽』

 

「たった一人でインディーズ体制で、劇場用長編アニメを作った」
このことに驚き劇場へ。
なめらかな作画に「どぉなっちゃってんだよ」と驚き、「せーの」で流れ出す音楽に、好きなバンドのライブ観に行った時みたいにぶちアガった。
アヴァンギャルドな作品に見えて、セオリーを丁寧に踏んでキチンと盛り上がるクライマックスが用意されてるのもいい。
ずっと寡黙だった主人公、研二の、岡村ちゃんが乗り移ったようなシャウトもだいすき。

 

パンフレットもムック本並みのボリュームで読み応え満点。ぼっちアニメ製作に興味がある方はかなり参考になるのではないだろうか。

 

それにしても皆さん声がいい。特に平岩紙さんが演じた森田くん。かわいかったナー。

 

 

 

5位 『シライサン』

 

目をそらしたら死ぬ!
今までのJホラーにはなかった斬新な死のにらめっこルール!
暗闇にひっそりと突然あらわれ、虚無の洞穴のような巨大な目でジッと見つめてくるシライサンのたたずまいが恐ろしい。
このにらめっこには負けて目をそらしそうになりましたが、主演の飯豊まりえさんの、美しさ、かわいさからは目をそらすことができませんでした。
しかもメチャメチャ演技がうまい!きっと日本映画界にとって大切な女優さんになられるのではなかろうか。

 

ちなみに『恐怖の口が目女』で口から目が飛び出るぐらいサブカル野郎たちをビックリ喜ばせてくれ、現在《月刊ミステリー ボニータ》で『Gペンマジック のぞみとかなえ』を絶賛連載中の奇才、祟山崇(たかやま たたり)先生の手でコミカライズ!…と思ったら映画と全然ちゃう、死ぬほど楽しく、怖く、そして泣ける青春ホラー巨大怪獣アクションバトル漫画にへんげしておりビックリ!
さらに乙一さんの原作小説を読むと「祟山先生のあのとんでもコミカライズ版は、まさかのここに繋がるんかあああ!」と、さらにビックリ!
映画!小説!漫画!
3つ合わせてぜひ!

 

 

 

4位 『犯す女 愚者の群れ』

 

ピンク映画としての桃色ハードルもきっちりとクリアしつつ、作品としても面白い。
毎度毎度こんなことができるのは映画界広しと言えど城定秀夫監督だけ!
寄る辺ない孤独な男女の刹那の愛を描いた本作もいつも通り素晴らしかった。
「ああ…なんて切なくて愛しい物語なんだろう…ラストはきっとこうなるんだろうな…」という私のチンケな予想など木っ端みじんに爆破するような幕切れにもビックリ!

 

 

 

3位 『呪怨 呪いの家 NETFLIX』

 

「なんか凄い怖いヤバいVシネマがあるらしい…」
最初の『呪怨』が世に放たれた時、そんなウワサが好き者たちの間で呪いの都市伝説みたいに口コミで広まっていった。
私はリアルタイムでそれを体験しており、もちろんドハマり。借りるだけでなくビデオも購入。『リング』のラストばりに「見て欲しい」と人にすすめて貸しまくりあげたものである。

 

『リング』の脚本はもちろん、『呪怨』の監修を務められたJホラープロフェッサー、高橋洋さんが脚本を書きおろした新たなる『呪怨』がNETFLIXで配信されると聞いた時は歓喜でふるえた。
そして満を持してインターネットという回路を通じて全世界に放たれた新たなる呪いのドラマは、期待通りイイ感じにやな感じの「昭和平成犯罪クロニクルミステリーホラー」に仕上がっていた。
それにしても…
ワシャ、あの最初のレイプシーンが一番怖かったな…

 

 

 

2位 『虚空門 GATE』

 

きうちかずひろ監督のナイスバイオレンス映画『BE-BOP-HIGHSCHOOL』が大好きだ。
リアルタイム劇場鑑賞はもちろん、VHSビデオを買ってテープが擦り切れるぐらい何度も観た。
那須監督版とは違う異様な暴力世界の中でヒロシを演じておられた庄司哲郎さん。
ボロボロにやられても徒党を組まず、孤高のケンカ屋を貫こうとする凛々しいお姿。
プロボクサーのライセンスを活かしたバイオレンスシーンでのシャープな体の動き。
ムチャクチャかっこよかった。

 

「え…?あの庄司さんがUFOコンタクティー…?」
《映画秘宝》で『虚空門 GATE』の記事を目にした時はもう!はじめてUFO見た人の顔でビックリ!
いそいそと映画館の門をくぐった。

 

鑑賞後「こ…これは…!大槻ケンヂさんの名曲『機械』だ!」と思った。
『機械』とはこんな感じの歌である。
人々を哀しみから救うため、キチガイあつかいされながらも天使を呼ぶ機械の発明に没頭する男。そしてそれをただ一人見守る女。
男が亡くなった後、残された女は機械を空に向けて発動!きっと彼女だけには羽ばたく天使たちの翼が見えるだろう…

 

オーケン節炸裂のこの切ない名曲と同じテイストを持つ『虚空門GATE』を観た時、「大槻ケンヂさん、この映画観たら、きっと好きになるに違いない!」と思ったらやはり!
その年の《映画秘宝》のベスト10でランキングに入れておられた。
私も入れずにはおれない!

 

芸能ニュースに詳しくないせいか、庄司さんの身に「あんなこと」が起きてたなんて、全然知らなんだ…
また、やる気なさそうに警備員のバイトをしてるお姿は胸が締め付けられるような思いがした。
そして、後半のあの事件…
「監督!そこ突っ込んでくれ!いや!やっぱり突っ込まないでくれ!」というアンビバレントな思いに引き裂かれそうになった。
ドキュメンタリー映画を観てこんなにドキドキ興奮したのは「ゆきゆきて、神軍」以来である。

虚空門GATE [Blu-ray]
コロムビアミュージックエンタテインメント

 

 

 

1位 『アルプススタンドのはしのほう』

 

登場人物たちの持つわだかまりやコンプレックスが、クライマックスを経ることで解消され、カタルシスを生む黄金パターン。
エピローグの「あのサプライズ」にいたるまですべて完璧だ!
主人公が自殺したり発狂したりして終わるバッドエンドよりも、このような丁寧なハッピーエンドを作るほうがずっとずっと難しい。
城定監督は逆転サヨナラ満塁ホームラン級の感動で見事に作品を勝利へ導いた。いつも通りメガネっ子も どストライク!キュン死必至だ!
城定秀夫監督作品にハズレ無し!
これほど打率の高い方は映画界広しと言えど、城定秀夫監督だけ!

 

ちなみに「私は学校が嫌いだった。私だったらあの場所にいることすらなかっただろう。〈アルプススタンドのはしのほう〉…じゃなくて〈アルプススタンドの外のほう〉にいただろう。だからこの話、私には関係ない。感動できない。しょうがない…」と、ちょっとへこたれ気味の私みたいなあなたは、よろしければこちらの映画大好き芸人カドカイシュウさん(@nico_ago)のレビュー動画をぜひ!
Don’t let it bring you down!

 

 

 

  • 1位 アルプスタンドのはしのほう
  • 2位 虚空門GATE
  • 3位 呪怨 呪いの家(NETFLIX)
  • 4位 犯す女
  • 5位 シライサン
  • 6位 音楽
  • 7位 溢れる淫汁 いけいけ、タイガー
  • 8位 許された子どもたち
  • 9位 アンダーウォーター
  • 10位 犬鳴村

 

…というワケで「2020年に観た映画 私のベスト10」は上記のようになった。
みなさんのはどんな感じだったでしょうか?オススメなどあればぜひ教えてください。
では良いお年を!
(おわり)