ニンテンドーDSが発表された時は、本当にビックリした。
「タッチペンで画面をさわって操作する?マジで!?」
マジだった。ちっちゃいボディに、それまで見たことのなかった斬新な機能を満載したDSはご存知の通り、売り切れゴメンの大ヒット。
寒い日は長時間プレイで熱をおびたスーファミ本体に触れて暖を取るほどの貧乏だった私はどっちにしろ買えず。
オモチャ屋に設置されていたお試しプレイ用のDSでその魅力を体験。ソフトはニンテンドッグス。
「すごいのう…どういう仕組みなんかのう…かわいいのう…」と気持ち悪い笑みを浮かべ、店の一角に呪縛霊みたいにたたずんで、画面の中のマメ柴の愛されボディをえんえんクリクリなでまわしたものだ。
収入が少し安定し、自分のDSをゲット。田舎の両親にも1台づつプレゼント。同梱したのは先のニンテンドッグス。
昔、我が家では「バン」という名の柴犬を飼っており両親ともに息子より溺愛。亡き愛犬が帰ってきたみたいで喜ぶと思ったのだ。
ほどなく母から
件名:でいえすありがとう。驚いたよ。死んだバンお思い出すね\(^▽^)/お父さんも喜んでいます。体に気おつけて。正月歯買えれるの?
本文:
というゴリゴリのオカンメールが届いた。
帰省した時に父のDSを開くとバンがいた。相当クリクリ可愛がったらしく派手な帽子までかぶっていた。
母は「美文字トレーニング」「えいご漬け」というソフトを自主的に購入しセッセとやり込んでいたので驚いた。
子供の頃は、ほとんどの家がそうだったと思うがウチも「おかんゲーム好かん」だった。
夜中、母が仕事から疲れて帰ってきた時、私がファミコンでFF3とかやってると、言葉は出さずとも明らかにキゲンが悪く、トンベリみたいに静かなる殺気を漂わせており、あの例のセーブポイント無い無い地獄なラストダンジョンの途中でも電源切らざるを得なかったのに。
DSの後継機「ニンテンドー3DS」が発表された時も、本当にビックリした。
「裸眼で3D?何それSFじゃん!マジで!?」
またマジだった。
3D用の演出がきちんと考慮された絵は、本当に奥行き&飛び出し方が凄かった。
中でも驚いたのは、すれ違い通信で集まるパネル絵の「スターフォックス」と「ゼルダの伝説」だ。
見た人も多いと思うがアリャたまげた。戦闘機の機首が!リンクの乗る馬の首が!ズボーンと!本当に画面の外に飛び出してるんである。
貞子もビックリの見事な飛び出しっぷりだった。
Wiiが発表された時も本当にビックリした。
「もーしょんせんさー?コントローラーを振ったりして直感的に操作?マジで!?」
またまたマジだった。
コントローラーをブンブン振ると画面の中の私の分身も驚きの精度で、振り、打ち、投げまくるのだった。
Wiiも両親にプレゼント。
帰省した時、兄と一緒に「Wii スポーツ」のボクシングをやった。
汗だくで楽しく殴りあう兄弟(オッサン2人。独身。)を見て父も母も爆笑していた。
この笑顔が見たくてプレゼントしたんだと気づいた。
発表された時の「マジで!?」という驚きと期待。
四方八方駆けずりまわって、やっとゲットした時の爆発的な喜び。
SFのような夢の実現を目の当たりにした感動。
「あの人にも見せたい!」とワクワクする気持ち。
父の笑顔、母の笑顔。
すべて任天堂がくれたものだ。
そしてこの夢の実現は、ゲームを愛し、開発スタッフの声に耳を傾け、優しく支え続けた最高のボスキャラがいらしたからこそ成し得たのだと思う。
(おわり)