(その➀はこちら)
休日を利用して、あらかじめ調べておいた近所の肛門科へ。
通勤時間と重なり、病院前はかなりの人通りの多さ。
中には女子高生たちの姿もあり。花のような笑顔をふりまきながら歩いている。
しかし何ら恥じることは無い。
ここはひるまず、堂々とするべし。
「痔は国民病とも言われる病気であり、別にめずらしくも、うしろめたくも無いのだ」
と自分に言い聞かせ、顔を上げ、胸をはり、毅然、平然とした態度で病院の中へ入ろう…と思ったがそのまま素通りしてしまった。
しばらく歩いて、気を取り直し、Uターン。
人通りが途切れたタイミングを見計らってゴール目がけてBダッシュ。無事1-1クリア。何が無事かはともかく。
ドキドキしながら受付へ行くと、まさかの美女がお出迎え。
「今日はどうされました?」
とまぶしい笑顔でクエスチョン。
どうもこうもない。ここは肛門科。何を言わせたいのか?「お尻がハルマゲドン」以外に何があると言うのか?
しかし何ら恥じることは無い。
ここはひるまず、ハッキリと症状を伝えるべし。
「内痔核をわずらっています。排便時に、痔核が外に飛び出ます。また、疲労がたまると、お尻が重く、だるくなり、歩くのも辛いです。最近、症状が重いのでうかがいましたっ!」
と言おうと思ったが、「あの~最近…その~」となってしまった。
「わかりました。問診表を書きながら、おかけになってお待ち下さい」
と受付美女。
何で何がわかったのかわからないが、エスパー美女の言われた通り待つ。
待合室には私の他に、ご高齢の男性が2人、中年女性が1人、赤ちゃんを抱いた若いご夫婦が一組。
けっこうな人数に驚く。
みなさん、本などを読みながら、静かに順番を待っておられる。
私も置いてあった女性誌を手に取り、腰かける。
韓流スターや、ジャニーズ、人気女優など、今をときめく美男美女たちの記事で誌面が埋め尽くされている。
「この人たちが、痔になったら通院するのも大変だろうな…むしろイボ痔であることを公言するアイドル(イボドル)がいたら、ファンになるのに、やぶさかでないのだが…」
などと考えながら待つこと数分。
ついに自分の名前が呼ばれる。
時は来た。
看護婦さんに案内され、診察室へ。
ここで看護婦さんは、すぐに退場。先生と2人きりに。
「診察中、ずっと看護婦さんもそばいたら、どうしよう?」
と危惧していたので、少しホッとする。
先生は物静かな雰囲気の中年男性。
症状を伝えると
「じゃあ、診察しますので、お尻が少し見えるぐらいまで下着とズボンをずらして、横になってください」
とベッドにうながされる。
ご親切にカーテンも閉めて下さった。
見るとベッドのそばに診察時のポーズの見本の絵がはってある。
それは、その①で描かせて頂いた、バイト先の後輩たちが言っていた人気AV女優のようなポーズでは無く ↓
…というようなものだった。 良かった…
いよいよ診察。
やはり恥ずかしく、腰骨ぐらいまでしか下着もズボンも下げておかなかったのだが、先生が診やすいように、ご自身でずらして微調整して下さった。
ヌルリとした、ローション的なものを塗られ、のっぴきならない問題を抱えた穴に指を入れられる。
もっぱら出すばかりで座薬ぐらいしか入れたことがない。
そのため、人の指が入ってくるという初めての感触に驚き、思わずうめいてしまう。
「うっ…!」
「あ、痛かった?ごめんね~力を抜いてね~」
字面だけ見たら完全に「初めてのふたりエッチ」みたいだが違う。断じて。
その後、触診、カメラ挿入による検査があり、あっという間に終了。
痛みはほとんどなく、患者の羞恥心にもしっかりと配慮の行き届いた診察をして下さった。
私の症状は、やはり典型的な内痔核。
日常生活に支障があるようなら、手術をしてみてはどうでしょうか?と勧められる。
それは、「ALTA療法」という最新の治療技術。
手術と言っても患部を切り取るのではない。
薬剤を注射して患部を硬く、小さくするというもの。
切除と違い根治ではない。
しかし効果はきちんとあり、排便後に飛び出さなくなる。
下半身麻酔をするので、入院の必要あり。
しかし、手術日の翌朝には退院。その日を含めて2日間は安静に。
つまり必要な日数は合計3日間のみ。
その後はすぐに仕事復帰可能。
必要経費は5万弱になるでしょうとのこと。
そのぐらいなら、今なら何とか用意できる。
何より、すぐに仕事に復帰できるのが助かる。
長年連れそったイボに、三行半を叩きつける良い機会。
この手術を受けてみることにした。
(また続く…)