ザンボット3の思い出

先日、やらねばならぬことは山ほどあるのに、つい「ちょっとだけ…」とYoutube動画を山ほどダラダラいつも通り見ていて驚いた。
アップされたテレビ番組の中でタレントの市川紗椰さんが、昭和のロボットアニメ「無敵超人ザンボット3」について熱く語っておられたからだ。

 

 

市川さんが生まれる前のアニメである。それなのになぜこんなに詳しいのだろう?
私は市川さんのことをあまり詳しく知らないのだが、「スターウォーズ」について宇多丸さんや高橋ヨシキさんというジェダイの騎士お二人を相手に、まったく引くことなく対等に話してたり、「鉄道」についてタモリさんと熱く語ったりしてるのをテレビなどでチョイチョイお見かけしたことはあった。

 

しかし市川さんに対して
「ハーフで海外生活の経験もあり英語ペラペラ、しかも早稲田大学卒のインテリって聞いてたけど、才色兼備かつオタク的マニアックな趣味も持ってるんだなあ…こりゃあ凄い無敵姉ちゃんが現れたもんだ。なかなかのオヤジキラーっぷりだ。ワシもいい年こいて好きにならぬよう気をつけよう。MCをやっとるユアタイムって何チャンかのう…?ユアってひょっとしてワシのことかのう…?」
ぐらいの軽い思い入れしかなかった。

 

それが今回、「ザンボット3」について熱く語ってる市川さんを見て大興奮!
ひと昔前にプチ流行した「惚れてまうやろーっ!」とはこういう時に使うのかと大納得!
Amazonで市川紗椰さんの関連書籍などを片っぱしからポチろうとしてる、たぶん市川紗椰さんのパパぐらいの年齢の気持ち悪い自分にハッと気づき、ギリギリで何とか踏みとどまった。
危なかった…
いい年こいて若いお姉ちゃんたちを凄い意識し、一度も会ったこともない、これからも生涯会うことのない芸能人を「ちゃん付け」で呼び、語尾に必ず「グフフ」とつけるようなタイプの痛いオッサンみたいになってしまうとこだった。気をつけよう。

 

そんな私と紗椰ちゃんが共に熱狂した「無敵超人ザンボット3」とはいかなるアニメなのか?
動画の中でワシの紗椰たんが話してるのをご覧頂ければお分かりになるとは思うが、いちおう倉井紗椰に代わり私からもネタバレ全開で少し説明させて頂こうと思うグフフ。

 

「無敵超人ザンボット3」とは、1977年に毎週土曜の夕方5時半(広島では)から放送されていた合体ロボットアニメ。

0dbb1ec38476ed5b1f87b94bfd3825ac

top_fig_03

ある時、地球に「ガイゾック」という名前の通り海賊みたいに悪い侵略者がやってくる。
立ち向かうのは、主人公の神勝平(ジン カッペイ)を始めとする神(ジン)ファミリー。
彼らは先祖の残してくれた宇宙船や合体ロボット(ザンボット3)に乗り込み、地球を守るため、お正月ばりに親戚一同で集まり、命をかけて戦う。

 

ところが人々は全然感謝してくれない。
それどころか「おまえら一族がいるからガイゾックが攻めてくるんだ!」とか「おまえら実はガイゾックとグルだろ!」とか、2ちゃんもビックリするぐらいの大炎上。
しかし、どんなに非難されても地球を守るため命をかけて戦う神ファミリー。

 

そして問題は最終3話…
ついに宇宙空間で最終決戦となるのだが、ここで出てくる敵たちがムチャクチャ強い。
その上、ドラクエⅡの「ハーゴンの後にシドー」形式で、やっと倒してもさらに強いのが出てくる。
しかもボスキャラのキラー・ザ・ブッチャーなんて「お前らがいくら命かけて戦っても、地球の奴ら、何も感謝しとらんじゃないか、や~い」とか言葉責めまで使って痛いところに地獄突きしてくる。
満身創痍、絶体絶命、ピンチの連続である。
「どう戦ってくれるのかな…?」とハラハラ見てると何とビックリ!
脱出させた女子供を除く神ファミリーの皆さんが次々と特攻!敵に体当たりして主人公以外全員死ぬんである!

 

前述した通りこのロボットアニメ、親戚一同で戦っているという珍しい設定。
当然、大好きなお父さん、お母さんもいる。かしこいお兄さんもいる。
優しいおばあちゃん、おじいちゃんもいる。
頼もしい叔父さん、叔母さん、仲の良いイトコたちもいる。
そんな愛する大切な家族、親戚、祖父母たちが「私たちの命ですむなら犠牲は少ないというものですよ」とか「先に逝くわね~」とか、太平洋戦争の映画の中とかでしか聞かないようなセリフを叫びながら順番に神風アタック!主人公の目の前でトラウマ必至の断末魔をあげて次々爆死!飼ってる犬までキャイーン!と炎に包まれるのである!

 

放送時間は土曜の夕方。つまりチビッ子にとってワクワク至福の時。
そんな時間帯にスーパーロボットアニメ枠で突如展開されたまさかのビックリドンヨリ地獄絵図。
見終わった直後、私はあまりのショックに ↓

img001-jpg-%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3-jpg%e8%90%bd%e3%81%a1%e8%be%bc%e3%82%93%e3%81%a0%e3%83%af%e3%82%b7%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%93
…という顔で呆然。
すると隣で一緒に見ていた兄が静かにこう言った。 ↓

img001-jpg-%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3

普段そんなこと言わないのに。
スポーツ嫌いのインドア派で、私がバドミントンに誘っても全然応じず、部屋でムズそうなSF小説ばっか読んでるのに。
どうやら兄も私と同じく地獄エンディングに激しく落ち込み、せっかくの土曜にドンヨリしてしまった気分を何とか払拭したく、バドミントンを提案したらしい。
見たら私と同じ顔をしていた。二人とも10歳前後ぐらいなのにホウレイ線クッキリになっていた。
そんで夕闇の中、フラフラ二人でバドミントンをした。

 

この問題作を監督したのは後にガンダムの生みの親となる富野由悠季さん。
「伝説巨人イデオン」とか「聖戦士ダンバイン」とかラストでやたらといっぱい登場人物たちが死ぬ系ロボットアニメ専門家。本名「皆殺しの富野」。

 

「無敵超人ザンボット3」はAmazonビデオなどで観れるので興味のある方はぜひ…
ちなみにスーパーアニメーター金田伊功さんが参加した最終回のひとつ前、第22話の作画のクオリティーは本当にスーパー凄い。主人公の勝平もいつもの3倍増しぐらいで男前。演じた大山のぶ代さんの魂をふりしぼるような熱演にも号泣必至である。
そしてもしも最終回を見てドンヨリしたら、バドミントンをやりましょう。
(おわり)