2016年度の映画 個人的なベスト10

年末にいつも発表させて頂いている映画のベスト10。
今年は豊作すぎて選ぶのが大変だった。1位だけはぶっちぎりで「あの作品」に決まっているが!
ちなみにいつかの年末と同じく、「スターウォーズまつり」に全然参加できない!好みってもんがあるので仕方ない。でもみんな楽しそうでいいなあ!

では10位から!(ネタバレあり)

 

 

10位   アイアムアヒーロー

壮大な展開を見せている原作に引っぱられすぎず「さえない男が勇気をふりしぼってヒーローになる!」という一点に話を絞ってあるのが凄く良かったと思う。
あの「決心と躊躇のリピートしまくりシーン」で、さえない私は超共感。

それにしてもまさか日本で、こんな見応えのある本格ゾンビ映画が誕生するとは。正直、佐藤信介監督をナメていた。愚かな自分を激しく恥じた。

エンディングが、もう3億兆回ぐらい聞かされた「作品と1ミリも関係ないタイアップ丸出しソング」ではなく、きちんと本編に関わる「ある曲」なのも立派だと思った。

「クルス」の説明がちょっと不十分なのかも…?ともチラリ思ったが、有村架純ちゃんの猫パンチが超かわいくてゾッキュン♥ノックアウトされてそんな疑問は吹っ飛んだ。

余談だが、花沢先生の原作マンガを「ゾンビもの」だと知らずに読み始めてまんまと驚くことができたのは、すごい幸運なことだったな…

 

 

9位  ロスト・バケーション

自然に配置された伏線がキチンと活かされ、回収されていくジョーズな脚本。
だんだん紫色になっていく唇、バックリ裂けて血があふれる太もも、そしてそれを容赦なく洗う海水など…疲労や痛みがズキズキヒリヒリ伝わってくるこだわりのディテール。

ここまで丁寧に作られた凶暴なサメ映画というものを久しぶりに観た気がする。

クジラ!人!そして鉄製のブイまでバリバリ噛み砕くアグレッシブすぎるサメを相手に、医学の知識を武器に一人ぼっちで戦う満身創痍のヒロインを手に汗握って応援。
そして「ワシャもう2度と海には行かん!サーフィンなどもってのほか!」と「サメサーフィン漫画」の金字塔「海の戦士」を読んだ時以来、あらためて誓いました。

 

 

8位  ケンとカズ

最初の車の中で待機してるシーン。
「どの程度の相手なのか?」
強さがわからない敵を襲撃する時の緊張感。みなぎる暴力のニオイ。
開始早々胸ぐらつかまれ物語に引きずりこまれた。

観る前は「荒削りなとこもあるインディーズ映画なのかな?」と勝手に思っていた。しかし、きちんとドキドキハラハラする「もしかしてバレてるのサスペンス」などもあり、手に汗握って驚いた。

物語の骨子も「男同士の友情」という不変のテーマであり、シッカリとした力強い作品だった。
役者さんたちの面構えも全員凄い。これなら天下の韓国バイオレンス映画軍団にも反逆可能!

 

 

7位   貞子VS伽椰子

この映画を観て「怖かった~」という人はたぶんあまりいないんじゃなかろうか。
でもきっとみんなこう言うだろう。「面白かったー!」と!

今をときめく若手女優さんたちもみんなカワイイ!
貞子も伽椰子もなんかカワイイ!
安藤政信と盲目の女の子の霊媒師コンビも最高!態度も口も超悪くてイカす!
そして最後はメガテンの悪魔合体ばりの最恐バケモンの誕生に目が点になること間違いなし!

思えば冗談みたいなコラボ企画。
どう考えても手ごわい「貞子&伽椰子」というジャパニーズホラーを代表する女幽霊さんのタッグに果敢に挑み、力業で見事にねじ伏せたような白石晃士監督にひたすら拍手するしかない!
面白かったー!

 

 

6位  クリーピー 偽りの隣人

終盤「このまま悪が栄えて終わったらどうしよう…黒沢監督ならやりかねん!」と不安で不安でしょうがなかったので、単純な私はラストの逆襲でスッキリ!
あの娘さんと一緒に「ザマーミロ!」と思ったのだが、その後「何も良くなりはしない」と思わせるような絶望的な絶叫シーンが待っており、竹内結子と一緒に悲鳴をあげそうになりました。

これでセックスで蹂躙されるようなシーンもあったら立ち直れなかったかもしれない。

それにしても洗脳された娘さんの、あのクルクル変わる態度。香川照之よりクリーピーで怖かったな…

 

 

5位  SHARING(117分版)

バッドエンドバージョンのみ鑑賞。
「世界の終わり感」がハンパない、本当に恐ろしいバッドエンドだった。
涙を流す主人公はいったいあの窓の外に何を見たのか?

「311」の時、私は東京の多摩市に住んでいた。
東京は地震が多い。最初は「いつものこと」とアパートの室内で平然としていた。
しかし突然「これは…いつものことじゃない!」と体を貫くような戦慄が走り、脱兎のごとく外に飛び出していた。

生まれて初めて地鳴りというものを聞いた。
電信柱がメトロノームのように揺れていた。
私の他にも近所の方々が数人、揺れる大地の上で呆然と立ち尽くしていた。
「いつか来る」と言われ続けてきた関東直下型の大地震がついに来たのだと思った。
かろうじて揺れがおさまった後、テレビで「何が起きたのか、何が起きつつあるのか」を知った。(知った気になった)

止まない余震、商品が消えてしまったスーパーマーケット、乱れる交通期間…
混乱する生活の中「計画停電」という怪しいキナくさい計画が遂行されるのを数回体験した。
ある夜、自転車を走らせていると、道路両脇に並ぶビル群からバーッといっせいに電気が消え、周りがみるみる闇に包まれていった。
この作品を観て、あの時の異様な衝撃や不穏な毎日をちょっと思い出した。

DVDの発売などが無いというのは本当なのだろうか?
また観たい。
それにこの恐怖と不安。みんなと広くシェアリングしないと耐えられそうにない!

 

 

4位  この世界の片隅に

のんさん演じる主人公・すずさんがひたすら愛らしい。ほわ~んとした広島弁のしゃべり方がたまらん。ぶちええねえ。(とてもいいなあ)

そしてそのひたすら愛らしいすずさんに、物語中盤に訪れる悲劇。
私はこうの史代先生(兄いわく、同じ小学校の同学年だったらしい)の原作を読まず、情報をほとんど入れずに観た。
ああなるとはまったく知らなかったので、息を飲み、凍りついたように画面を凝視してしまった。「あ…!ない…!」と。
カウントダウン方式で話が進んで行くので、私はてっきり呉に嫁いだすずさんが「運命のその日」に広島市に戻ってしまう話なのかと思っていた。ちがった。地獄はその前に突然やってきた。

その後はもうすすり泣きっぱなしだったが、すずさんがご家族の「ギギギ」を見ることもなく、良い縁にも恵まれ、最後には居場所を見つけたのでちょっとホッとしてしまった。この世界の片隅に確かに生きていたすずさんへの、監督さんやスタッフの方々の愛を感じた。

非常に濃密な映画で、自分の中でまだ消化しきれていない感もあり。もう何度か観たい。
そして、ピカの時、すずさんのおばあちゃんと同じ草津にいた、毎年8月6日には古いアルバムを広げ、テレビの前で泣いていた自分のバアちゃんにもできれば観せたかった。

 

 

3位  孤高の遠吠

正確には今年公開の映画ではない。
しかしDVDのレンタル開始、つまりこの「悪ガキ映画の怪作」による全国の民家襲撃が今年。
私もついにやっと観れたのでランキングに入れさせて頂く。

詳しい感想は以前に書いたので省略するが、セルDVDがひたすら欲しい。何とか発売されないだろうか?特典でメイキングとか付いてたらかなり面白いと思うのだが。

不良ではない人が
毎週末
東京から静岡に通い
遊びたい度マッドマックスであろう地元の不良のみなさんを集め
ノーギャラで自主映画に出てもらう

普通はこんなことできない!何か怖いし!小林勇貴監督の勇気がひたすらスゴい!

いったい現場はどんな感じだったのか?やはりメイキングが見たい。
殺る気マンマンの次回作「逆徒」のDVD発売の時はぜひご検討を!
その前に、広島で上映されるといいな…

 

 

2位  ヒメアノ~ル

「先週はギャグっぽかったけど、今週こそは、すべてが壊れてしまうのでは…?」
とおびえながら連載を追いかけていた古谷先生の原作マンガ。
それを「さんかく」や「ばしゃ馬さんとビッグマウス」など「カワイイと思って包みを開けたら中身はむき出しのジャックナイフでした!痛っ!」みたいな、身につまされすぎて刺さって死にそうになるムービーの必殺仕事人、吉田恵輔監督が映画化。
「こりゃ恐ろしいことになるぞ…」
と感じた不安はめでたく的中。ジャニーズファンのチビッ娘たちは失神必至の恐るべき傑作だった。R指定だからチビッ娘は観れないが!

それにしても「十三人の刺客」の吾郎ちゃん、「そこのみにて光輝く」の高橋和也さん、そして本作の連続殺人犯・森田役の森田剛さん。
ジャニーズ王子様たちの悪役力ハンパねえ。

とにかくこの作品の森田剛さんはスゴい。
「十三人の刺客」の吾郎ちゃんの「立ちション」をはるかに越える「殺人後の立ちオナニー」を堂々披露。「殺し屋1」ともタイマンはれそうな不気味力。

最高のタイミングでやっと出るタイトルをスタート合図に、その森田くんが繰り広げる連続殺人の地獄絵図も凄まじい。

  • 刃物がガチガチ背中に当たってなかなか突き刺さらない!あるいは超ゆっくり刺さる!
  • 連続殴打してもなかなか死なない山田真歩さんがビシャビシャ失禁!
  • ムカつく女をすぐストーキング&レイプ!生理中でナプキン血まみれ!
  • 拳銃でブチ抜くのはホッペタやチンチン!すぐには死なないが凄く痛そう!
  • 「人を殺して捨てゼリフ」ならぬ「人を殺してすぐカレー」!

などなど…暴力描写の新発明やアイディアがメガ盛り。
「アイアムアヒーロー」でも大活躍だった藤原カクセイさんの特殊効果で血肉マシマシ。前半のラブコメ的展開とのギャップもあって恐烈。

そして恐いだけではなく、同時に胸をしめつけられる、この上なくせつない作品でもある。
森田剛さんのラストのあのセリフ「お母さん、麦茶持ってきて~!」で私は剛泣した。

 

 

1位  シン・ゴジラ

ぶっちぎりで1位である。
作品の感想は前にも書いたので省略するが、まさかこんな面白いゴジラを観ることができるとは。夢にも思っていなかった。
通常版を2回、4DX版を1回、発声可能上映を1回。合わせて4回も観に行ってしまった。そして今もまた観たい。
庵野さんが昔「フィルムもドラッグなんですよ」というようなことを言っておられたのを思い出した。私は完全にシン・ゴジ中毒である。

ちなみに4DX版は73歳の父と観た。
ゆれる座席!飛び出す水!煙!
アトラクション効果が起こるたび「こりゃすごいのう!ホホゥ!オホホゥ!」と奇声を上げて喜ぶ父リアクションに爆笑。
しかし帰り道
「そういやあワシは子供の頃、親に連れられて、一番最初のゴジラを映画館に観に行っとるんよのう…」
と初耳なことを言いだし、戦争体験者の方の講演を聞く時のように一瞬背筋がピンとなりました。

 

 

以上、私の今年のベスト10はこんな感じである。
他に好きだった作品はこんな感じ。

 

「ヘイトフルエイト」
一人ぐらいかっちょいい人がいても良かったような気もする。ホントに全員フルでヘイトフル!

「ディストラクションベイビーズ」
前半の連続無差別ステゴロタイマンテロと、小松菜奈のキャバ嬢に魅了されまくった。

「何者」
主人公が何者であるかを知って驚き、憤り、哀れを感じ、最終的に愛しくなった。

「FAKE」
テレビのバラエティー番組を観て「新垣さんってオチャメな人だな」とか思ってたのがひっくり返った気がして頭がグルグル。
そして佐村河内夫婦の絆とラストの演奏に感動…したところにもう一発パンチが飛んできてやっぱり頭がグルグル。いったい佐村河内さんは何と答えたのか?ずっと気になる!

「ヤクザと憲法」
「調子に乗んな!カメラのけとけ!」と、閉められたドア越しに聞こえる怒号、そして部屋から出てきた男の子の気まずそうな表情と顔をぬぐう仕草…
映らないのに凄まじい本物の暴力のニオイが立ちこめたあの瞬間が忘れられない。あの子…ヤクザの世界で大丈夫だろうか?
それと組長さん、俳優みたいに男前で驚いたな…

「無垢の祈り」
カナザワ映画祭で超満員の中で観た。
あのような状況の時、本当に悲しく、痛ましいのは、相手が恐くて恐すぎて、逆に必死で奉仕してしまう子たちだ。恐ろしい現実に心が耐えられず「この人は本当はいい人。私が悪いから怒るんだ。がんばらなきゃ!」と自ら幻想を作り上げ、それが真実だと必死で思いこもうとしてしまう子たちだ。
そしてその時、悪はとことんつけ込んでくるだろう。それが本当の地獄だと思う。
本作の女の子はまだ、真実をするどく見抜き、悪にあらがう強い眼差しを持っている。そこが少し救いだった。

「君の名は。」
「新海監督、ハッピーエンドをありがとう!」とステキな気分になった。しかし頭が悪いので実は観ててちょっと混乱。「えっと…今は…彗星が落ちる前で…人格は男で…記憶はまだ残ってて…う~んと…ワシャやっぱりバカなんだなぁ…これがヒットするってことは、みんなやっぱり賢いんだなあ…」と変な涙。しかし乳ゆれと乳もみとパンチラがすごく良かった。グヘヘ。

 

ーーー以上である。
ちなみに息を止めるほと面白いとウワサの「ドント・ブリーズ」は広島ではやってない。田舎か!
明らかに自分好みの「葛城事件」を見逃してしまったのはひたすらくやしい事件だ。

 

見逃してしまったと言えば、ロスに苦しんでる人も多いという「真田丸」も「逃げるは恥だが役に立つ」も全話見逃した。つまりまったく見てない。大河ドラマは「武蔵坊弁慶」、トレンディードラマは「とんぼ」以来見ていない。「トレンディーじゃねえ!」という意見もあるが!

 

そんなこんなでつい長くなりすぎてしまった。読んで頂きありがとうございます。
みなさんのベスト10はどんな感じになったでしょうか?

(おわり)